2013 Fiscal Year Annual Research Report
高強度鋼と高強度コンクリートを用いた超高層建築物における大空間構成法とその設計法
Project/Area Number |
11J00669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 和宏 京都大学, 防災研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超高強度鋼 / H-SA700 / CFT構造 / 設計式 / ロッキング機構 / PC鋼棒 / 残留変形低減 / 時刻歴応答解析 |
Research Abstract |
本研究は、超高層建物の下層階に大空間を構成するという課題に対し、高強度鋼と高強度コンクリートという新材料を用いた部材や接合部の開発により、問題の解決を図る。本年度は、大きな弾性変形能力を有するH-SA700と称する高強度鋼を用いた柱部材の開発と、地震時に柱脚の浮き上がりを許容するロッキング機構を付与した高層建物の考案に取り組んだ。 高強度鋼H-SA700を用いた柱部材の開発では、H-SA700を用いた鋼管内に高強度コンクリートを充填した「CFT柱」を対象とし、部材性能の検証と設計法の導出を課題と設定した。研究では、高強度鋼H-SA700と高強度コンクリートを用いたCFT柱部材が、最大耐力にいたるまで安定した変形挙動を示し、最大耐力後も従来のCFTと遜色のない耐震性能を確保しえることを明らかにした。また、従来の設計指針では適用の範囲外となるH-SA700鋼CFT柱について、部材所係数に基づく新たな設計式を誘導した。 地震時に柱脚の浮き上がりを許容するロッキング機構を付与した建物の開発では、上記のH-SA700鋼CFT柱を主体としたロッキング架構を提案し、そこに初期張力を導入したPC鋼棒を付加することで、耐震性能の確保と地震後の残留変形低減を図った。実験的検証では、PC鋼棒を配したロッキング架構の耐震性能を準静的載荷から収得した。解析的検証では、先の実験結果に基づく解析モデルを構築し、提案ロッキング架構とそれに連なる大スパン架構に対する時刻歴応答解析を実施した。解析によれば、建物は2次設計レベルの地震動下で柱脚部の浮き上がりが発生した。また、現行の設計では想定外とされる極大地震後においても、建物に残留変形が生じない結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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