2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J00724
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小泉 京美 東洋大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 東アジア / 植民地 / 日本語文学 / 「外地」 / モダニズム / アヴァンギャルド / 「満洲」 / コロニアリズム |
Research Abstract |
アジアにおける日本語文学の歴史的展開の全体像を明らかにすることを目的とし、中国東北部での資料調査に基づいて日本語文学関連資料目録の作成、各機関における所蔵状況および資料解題を記載したデータベースの構築を目標に活動した。成果は大きく以下の三点にまとめられる。 1.満鉄経営機関および満鉄社員クラブにおける文化活動 北海道大学図書館・小樽商科大学図書館で、旧満鉄大連図書館の館報『書香』、満鉄読書会の機関誌『読書会雑誌』等の調査を行い、満鉄母体の公共機関および社員クラブにおける文化活動の展開を明らかにした。 2.満洲短歌会の形成と展開 国際日本文化研究センターおよび大連市立図書館において、満洲短歌会に関する文献の収蔵状況を調査した。大連市立図書館では『暁』『くさねむ』等関連資料の収蔵状況が明らかになった。満洲短歌会の機関誌『満洲短歌』については、国際日本文化研究センターで調査を行い、満洲短歌会の活動を中心に、満洲における短歌団体の成立と展開をめぐってどのような問題が浮上していたかを分析した。 3.中国東北部における文献調査とデータベースの構築 大連市立図書館・遼寧省図書館・吉林省図書館・黒龍江省図書館・瀋陽市立図書館で資料調査を行い、日本語文学関連資料目録を作成し、各機関における収蔵状況および資料解題を記載したデータベースの構築に関する基礎作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内機関収蔵の日本語文学関連資料の調査と分析によって、アジアにおける日本語文学の歴史的展開を具体的に明らかにすることができた。資料の散逸や収蔵状況の確認の遅延などの理由から、限定された資料をもとに考察を重ねてきた既存の研究状況に対して、意義のある成果を報告することができたと思われる。一方で、中国東北部の各機関における日本語文学関連資料の収蔵状況と資料解題に関するデータベース構築にあたっては、入館制限および閲覧制限などの理由により、書誌学的見地からは、調査に不十分な点があったと評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の推進にあたって、基本的な方針は変更しないものの、中国東北部における資料調査と収蔵資料に関するデータベース構築にあたっては、次年度以降も継続して行うこととした。その際に、入館制限や閲覧制限などによる調査・分析対象の偏向を改善するために、大連外国語学院・東北大学等中国の研究機関を介して調査を行う。
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Research Products
(3 results)