2011 Fiscal Year Annual Research Report
複数開口を有するRC造耐震壁のせん断強度評価に関する研究
Project/Area Number |
11J00742
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
櫻井 真人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RC造耐震壁 / FEM解析 / パラメトリック解析 / 静的載荷実験 / せん断強度 |
Research Abstract |
本研究では,開口を有する鉄筋コンクリート(RC)造耐震壁の合理的な耐震性能評価手法の開発を念頭におき,複数開口を有するRC造耐震壁の構造実験およびFEM解析を実施し、開口の条件が耐震壁の破壊モードおよび耐震壁内部の応力伝達メカニズムに及ぼす影響を明らかにする。その上で耐震壁内部の応力状態に即した適合条件を選定し,これらに基づいたせん断強度算定式を構築することを目的としている。本年度は開口位置を変数としたバラメトリック解析の結果から,耐震壁の壁板におけるストラット形成状況や各壁板のせん断力負担状況を把握した。この結果に基づいて壁板のせん断抵抗メカニズムを仮定し,壁板長やストラットの角度に応じてせん断強度を評価する算定式を提案した。また,壁板に側柱が付帯する場合の算定手法およびコンクリートの圧縮強度やせん断スパン比などが耐震壁のせん断強度に及ぼす影響を反映させる手法を考案し,一般的な耐震壁にも適用できるよう提案式の修正を行った。筆者らの既往の実験で用いた有開口耐震壁試験体に対して提案式による算定を行い,提案式が有開口耐震壁のせん断強度を概ね評価できることを示した。 また,破壊モードが曲げ降伏先行型となる複数開口耐震壁の構造実験を行い,当該耐震壁の構造特性を検討した。2010年度の実験ではせん断スパン比1.8の有開口耐震壁試験体ではせん断破壊の様相を呈した結果となったため,本年度実験では側柱の曲げ降伏が先行するよう,側柱の主筋量および鋼種を再設計し実験を行った。その結果,開口が側柱脚部に隣接する耐震壁では,側柱の主筋降伏後から曲げ降伏先行型耐震壁と同様の復元力特性を示したものの,開口が隣接する圧縮側柱脚部のせん断破壊によって急激な耐力低下がみられた。また,せん断終局強度の算定に提案式を用いた有開口耐震壁試験体のせん断余裕度の評価を行い,当該耐震壁における破壊モードの判定が概ね可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は複数開口を有する耐震壁に対する合理的で簡便なせん断強度評価手法を構築することである。本年度までに,壁板における基本的なせん断抵抗モデルを提案した。また,壁板に側柱が付帯する場合の算定手法などを考案し,一般的な耐震壁にも適用できるよう提案式の修正を行った。修正式による算定結果は一定の算定精度を有しており,本研究は研究目的に対しおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
提案式による算定結果より,開口が縦長になる耐震壁や開口が対角に配置された耐震壁に対しては算定精度が低下する傾向があることがわかっている。これらの耐震壁に対しては壁板に形成されるストラットの仮定などを再検討し,提案式の算定精度向上に務める。
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Research Products
(6 results)