2011 Fiscal Year Annual Research Report
新物理探索を目的とした、K中間子稀崩壊探索実験の為の光子中性子検出器の研究開発
Project/Area Number |
11J00770
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河崎 直樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 新物理探索 / CP対称性の破れ |
Research Abstract |
本研究の目的は、K中間子稀崩壊探索実験(KOTO実験)の1年分のデータ解析から現在の素粒子標準模型を超えた、新物理探索を行う事である。本実験はKL→π0νν崩壊事象の分岐比を測定することで、標準理論を超える新たな物理過程を介して生じる新たなCP対称性の破れに対して感度を持っている。本実験においては特に、KL→π0νν崩壊事象に対するバックグラウンド源となる為、ハロー中性子によるπ0生成事象を如何に抑制し、またその見積もりを正確に行う事が重要である。 23年度の研究計画においては、このハロー中性子を検出器する光子中性子検出器(NCC)の開発を完了し、ビームラインにインストールする予定であった。しかしながら震災の影響もあり、作業に遅延が出ている。 23年度の成果としてはまず、損傷を受けた結晶の被害状況の確認並びに修繕加工作業を完了した。また、これらの結晶の発行量試験も完了し、検出器モジュールの量産開始までこぎ着けた。 モジュール量産作業は、量産開始が研究計画から4ヶ月程遅れた物の順調に推移している。これまでに、CsI結晶の読み出しに使用する波長変換ファイバーの塗装作業とアクリル板への接着加工までが完了した。現在、最終工程であるCsI結晶の接着作業が開始されたところであり、モジュール量産工程の約6割が完了した。また、完成したモジュールの性能評価も開始した。 これらの成果により、今年12月のKOTO実験の物理ラン開始に向けての道筋を付ける事が出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災で破損した結晶の修繕作業については、当初見通しより若干遅れが出たが無事完了し、検出器の量産作業までこぎ着けた。予定していたモジュール量産作業の完了は達成できなかったが、復旧後の量産作業自体は順調に推移している。実験が行なわれるJ-PARC陽子加速器も震災で被災したためKOTO実験の実験計画自体が1年遅れているが、私が今年度担当建設を担当した光子中性子検出器は、本実験の物理ラン開始までに建設を完了するめどをつけることが出来たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初23年度に計画されていた、光子中性子検出器(NCC)のモジュール量産完了時期を24年度の5月に変更する。その後モジュール組み立てを行い、6月にはNCC実機製作を完了する。KOTOビームラインへのインストール時期は、現場の都合上24年の10月になる見通しであり、それまでの間、宇宙線μ粒子を用いたエネルギー校正を行う予定である。また、12月~平成25年1月頃には実験開始が予定されており、物理データの取得および解析を行う予定である。
|