2011 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造検出器を用いた三次元飛跡検出型の方向に感度をもつ暗黒物質探索実験
Project/Area Number |
11J00812
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 輝石 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダークマター / NEWAGE実験 / 飛跡検出器 / MPGD |
Research Abstract |
暗黒物質探索実験において、DAMA領域を探索するため、1000倍の感度向上を目指している。10倍をエネルギー閾値の低下で、10倍をバックグラウンドの低下で、10倍を大型化で達成する予定であり、今年度はエネルギー閾値低下とバックグラウンドの低下に成果があった。 感度を10倍にするため、エネルギー閾値を従来の100keVから50keVに低下させる試験を行った。低圧ガスを用いて飛跡を長くすることにより、エネルギー閾値のネックとなっていた角度分解能を確保するため、従来の半分の圧力である0.1atmのガスを用いた試験を行った。まず、ガス増幅率の測定を行った。これは、飛跡が伸びると取得する電子の密度が下がり、従来の2倍のガス増幅率が必要となるためである。測定の結果、従来のガス増幅率の2倍の1400に達することを確認した。また、低圧ガス中ではGEMでの増幅率が飽和することを突き止めた。次に、角度分解能を測定し、50keV-100keVのエネルギー領域において40度という値を得、方向を決定できることを確認した。最後に、検出効率を測定し、50keVにおいて60%の検出効率があることを確認した。これは暗黒物質探索において問題ない値である。これら3つの測定結果から、0.1atmのガスを用いることでエネルギー閾値を50keVに下げることに成功した。 バックグラウンドであるラドンを除去するため、ガスを循環して冷却した活性炭を通過させてラドンをトラップするラドン除去システムを作成した。このシステムを用いることでラドンの量を10分の1以下に低減することに成功した。また、ヒーターを導入した温度調節機構を作成した。冷却温度の変動は圧力の変動に直結し、ひいてはガス増幅率の変動に繋がるため、エネルギー分解能が悪化する。温度調節を行った結果、温度変動を1度、圧力変動を3torrに抑えることができた。このときのガス増幅率の変動はμ-PICの増幅率の場所依存性よりも小さく、ラドン除去システムによるガス増幅率に対する変動は抑えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エネルギー閾値の低下に成功した。その結果を国際学会にて発表し、査読付きの論文として発表できた。またバックグラウンドのラドンの除去も目標値を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
暗黒物質探索用の低バックグラウンドのドリフトケージを作成する。その後、エネルギー閾値低下とラドン除去システムを神岡地下に導入し、暗黒物質探索実験を行う。エネルギー閾値を低下させての残存バックグラウンドは未知であり、探索の結果をもとにDAMAに到達するための効果的な改良を行う。また、並行して大型化の研究を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Low pressure gas study for a direction-sensitive dark matter search experiment with MPGD2011
Author(s)
K.Nakamura, K.Miuchi, S.Iwaki, H.Kubo, T.Mizumoto, H.Nishimura, J.D.Parker, T.Sawano, A.Takada, T.Tanimori, H.Sekiya, A.Takeda
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Journal Title
Journal of Instrumentation
Volume: 7
DOI
Peer Reviewed
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