2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01032
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
竹井 英文 国立歴史民族博物館, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 織豊政権 / 天下統一 / 戦国期 / 織豊期 / 政治史 / 豊臣秀吉 / 惣無事 / 城郭 |
Research Abstract |
本年度は、これまで実施してきた織豊政権による東国統一過程に関する研究、および戦国・織豊期東国城郭の基礎的研究を継続すると同時に、新たに天正18年(1590)の小田原合戦以後の政治史・城郭史研究を開始した。 本年度活字化された成果は、以下の通りである。(1)これまで発表してきた研究をまとめる形で、「織豊政権の東国統一過程-「惣無事令」論を越えて-」(『日本史研究』585号、2011年5月)を発表し、新たな織豊政権による東国統一過程の全体像を描いた。(2)「房総の城郭と戦国大名系城郭論-「里見氏系城郭」を中心に-」(『千葉城郭研究』第10号、2011年10月)を発表し、城郭研究における重要な概念である「戦国大名系城郭論」について再検討した。(3)既発表論文である「戦国前期東国の城郭に関する一考察-深大寺城を中心に-」が、黒田基樹編『扇谷上杉氏』(戎光祥出版、2012年3月)に再録された。(4)小田原合戦後の政治史・城郭史研究の一環として、「小田原合戦後の八王子城-中近世断絶論を越えて-」(『八王子市史研究』第2号、2012年3月)を発表した。(5)上野国の重要拠点城郭である高山城の基礎的研究として、「上野国高山城の基礎的研究」(佐藤博信編『中世房総と東国社会』岩田書院、2012年3月)を、発表した。 学会発表・講演活動としては、(1)「戦国城郭の維持・管理・生活」(日本城郭史学会大会報告、2011年4月)を発表し、維持・管理・生活の視点から戦国期と近世の城郭の比較検討を行った。(2)「中近世移行期東国の街道と城館-「小田原合戦史観」を問い直す-」(中世を歩く会講演会、2012年2月)を発表し、今年度収集した史料を踏まえて、小田原合戦以後の東国政治史を街道」城館の視点を加味して検討した。小田原合戦以後の状況をも踏まえた織豊政権の天下統一過程像構築の試みであり、次年度の研究への大きなステップとなった。その他、これらに関連して各地で関連史料調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでの織豊政権による東国統一のあり方の解明をさらに進めることを主目的としたが、上記『日本史研究』掲載論文でその全体像を描くことに一程度成功したうえに、『八王子市史研究』掲載論文および中世を歩く会講演会にて、小田原合戦後の政治過程を含めた当該期政治史像構築への第一歩を踏み出せたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果に基づき、今後も引き続き、東国を中心とした研究を進めていきたい。特に、小田原合戦以後の政治過程の解明の重要性が高まったため、そこを重点的に取り組んでいきたい。当初の予定では、西国の政治過程の検討も進めていくつもりだったが、このように東国に関する重要な研究課題がまだ残っているため、基本的には東国の政治史・城郭史の検討を中心にしつつ、西国関係については研究の基礎となる資料収集に重点を置いて研究を進めていきたい。
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Research Products
(7 results)