2011 Fiscal Year Annual Research Report
月・惑星探査のための自律歩行ロボットシステムの開発
Project/Area Number |
11J01186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
錦織 慎治 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 惑星探査 / ロボット / 脚移動 / 自律システム |
Research Abstract |
本研究では,従来の歩行ロボットシステムでは致命的な問題である「転倒」の概念を排除した脚配置をもつ自律歩行ロボットシステムを対象としている.車輪移動型では探査困難であった月・惑星の不整地領域においても,脚移動型がもつメリットを最大限に生かすことができる. 通常の脚配置と異なる特殊な形状としたことによって,従来型の歩行に代わる全く新しい移動形態の可能性がある.具体的には,従来のロボットでは姿勢角の大きな変動は転倒を誘発するために忌避されてきたのだが,これを胴体の移動に積極的に利用できる.歩行以外の移動形態として,過去には主に準静的な胴体回転を伴う移動形態について検討を行ったが,本年度は新たに,動的な胴体回転を伴う移動形態についても検討した.ロボットと土壌の間に生じる動的な効果を利用することで,ロボットの登坂能力が向上できる可能性があることがわかった.この研究成果について「第12回『運動と振動の制御』シンポジウム」にて発表を行った. 運動制御アルゴリズムの検証実験の安全性を確保するために,動力学を考慮した運動を模擬できる計算機シミュレータを開発し,移動アルゴリズムの事前検討を行っている.一方,実験機についてはいくつかの改修を行った.センサ類が未搭載であったので姿勢センサと着地センサおよび小型カメラ2台を設置した.また,軽量化のため外部から有線で供給していた電源や通信経路を無線化することで,大きな姿勢変化を許容する実験機の運動を極力妨げない構成に改めた. 「第55回宇宙科学技術連合講演会」に参加し,国内各機関の惑星探査ロボットや着陸機等の宇宙ロボティクスに関する最新動向を調査した.さらに,「第17回ロボティクスシンポジア」に参加し,宇宙ロボティクスにとどまらず,広くロボット関連技術の最新の研究成果について調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
運動制御アルゴリズムとして,歩行ロボットにも適用事例のある,生物の反射行動をもとにしたCentral Pattern Generator(CPG)を応用することを試みているが,項目9で述べたように運動形態の自由度が大幅に増したことで,多様な移動形態や移動手法を統合的に扱うことのできるアルゴリズムの開発が停滞している.
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Strategy for Future Research Activity |
項目11にも記したCPGをもとにした運動制御アルゴリズム開発を引き続き行い,歩行に限定されない運動にも適用可能な形でアルゴリズムに組み込んでいこうとしている.運動の自由度の大幅な増大によって,どの運動をロボットに選択させるかという問題が生じるが,これまでの研究で蓄積されてきたエネルギ効率に関する知見をもとにした評価基準によって,ロボット自身が運動を選択するようなアルゴリズムを開発する. 実験機の重量増加により,カメラ画像をリアルタイム利用した自律移動まで含めて実験するのが困難となった.そこで,ロボットを歩行させることなく,ロボットは静止させたままカメラのみ動かして撮影した画像の処理によって,このアクティブビジョンシステムの周辺環境認識に対する有効性を実験的に検討することとする.
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Research Products
(2 results)