2011 Fiscal Year Annual Research Report
スプリント走の加速能力を向上させる自走式トレッドミルの開発と応用
Project/Area Number |
11J01212
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永原 隆 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 疾走 / トレッドミル / 加速 / バイオメカニクス / トランジッション |
Research Abstract |
今年度は,作成するトレッドミルを用いた実験によって得られるデータと比較するための実走路における疾走のデータを取得すること,トレッドミルを作成することを中心として行った.実走路における疾走のデータ収集では,加速にともなうピッチ,ストライド,支持時間,滞空時間の変化と加速の関係について検討した.これらのデータはトレッドミルを用いた疾走の分析をする際の比較のために必要不可欠であるとともに,効果的な加速を明らかにするうえで非常に有用なものであった.これらのデータの分析の結果,およそ60mの加速局面における初期ではピッチ,中盤ではストライド,後半ではピッチとストライドを高めることで効果的に加速できることが分かった.これらの結果は,ピッチやストライドといった非常に身近でシンプルな指標をどのように変化させれば効果的に加速できるのかを明らかにしており,競技としての短距離走から学校体育における短距離走にまで応用できるものであり,有用であると考えられる.また,実走路における疾走動作の分析では三次元のモーションキャプチャ装置をもちいて計測した.疾走動作のデータはトレッドミル試技との比較と効果的な加速動作について横断的な特徴を明らかにすることが目的であった.この走動作のデータに関しては現在分析中である.トレッドミル作成に関しては,ベースとなるローラー式の走行面を有した自走式トレッドミルを作成した.疾走中のトレッドミルローラーの摩擦抵抗が大きかったため,今後摩擦抵抗を相殺するための定トルクモータを取り付ける.予備実験では,摩擦抵抗が大きく実走路における疾走速度よりも低い速度までしか到達できなかったが,疾走中の動作を連続して計測できた.トレッドミルの改良は必要であるが,連続した加速疾走動作の分析はこれまで行われておらず,今後の実験とデータの分析によって疾走能力向上に資する知見が得られると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トレッドミルの作成に際し,予算上試作ができなかったため,その構造について深く検討する時間が必要であった.また,作成したトレッドミルにおける疾走時の摩擦抵抗が大きかったため,さらなる改良が必要となり,本実験を行うには至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は作成したトレッドミルを改良し,モーターアシストシステム,速度検出装置を取り付ける.モーターアシストシステムは当初の計画とは異なるが,現在のトレッドミルは摩擦抵抗が大きく,トレッドミル上における疾走は実走路におけるそれとは大きく異なるため追加して取り付ける.その後,トレッドミル上における疾走の実験を行い,加速中の疾走動作の変容や効果的に加速するための方略を明らかにし,トレーニングへの応用の可能性について検討する.
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