Research Abstract |
本年度は,長期的な結果を予測した行動選択と回避行動の関連を明らかにするために,調査研究と実験研究を実施した。 調査研究では,抑うつ気分以外の要因として,長期的な結果を予測した行動選択が,社会的場面における回避行動と非社会的場面における回避行動に影響を与える要因であるかを検討した。本研究の結果,抑うつ気分と長期的な結果を予測した行動選択は,非社会的場面からの回避行動に有意な影響を与えることが明らかになった。その一方で,社会的場面における回避行動には,抑うつ気分のみが有意な影響を与えることが示された。 実験研究では調査研究から示された問題点を解決するために,長期的な結果を予測した行動選択を操作することによって,非社会的場面における回避行動が変化するかを検討した。これまで,回避行動を変容させる時には,簡単な課題から取り組むように介入を実施してきた。しかしながら,長期的な結果を予測した行動選択は,課題が難しく結果が明瞭な状況で活性化することが明らかになっている。そのために,長期的な結果を予測した行動選択を操作するために,課題が難しく結果が明瞭な回避行動に取り組む群を実験群とし,簡単な課題を取り組む群を比較群とした。そして,行動活性化療法の介入を実施し1週間で回避行動と回避行動に代わる行動の変化について検討した。その結果,実験群と比較群では,取り組む課題の難易度に有意な差があるにも関わらず,実験群は比較群と同様の介入効果が示された。以上の結果から,非社会的場面における回避行動に対しては,長期的な結果を予測した行動選択を操作することで,難しい課題からでも介入を実施することができることが明らかになった。簡単な課題から取り組むよりも,介入期間を短縮することができることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,調査研究を実施し長期的な結果を予測した行動選択と回避行動の関連を明らかにし,実験的研究によって長期的な結果を予測した行動選択を操作することによる回避行動の影響を検討することが出来た。研究目的には,調査研究は含まれていなかったが,調査研究と実験的研究を実施することができたことから,当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から,長期的な結果を予測した行動選択を操作することで,非社会的場面における回避行動を変化させ易くなることが明らかになった。しかしながら,社会的場面における回避行動との関連が明らかになっていない。今後は,社会的場面における回避行動と関連する要因を検討する必要がある。
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