2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ曝露により半導体表面に誘起される欠陥を高精度で解析する分光測定技術の開発
Project/Area Number |
11J01382
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 朝彦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プラズマエッチング / プラズマダメージ / シリコン / フォトリフレクタンス / 電荷捕獲欠陥 / MOSFET |
Research Abstract |
本研究は、プラズマに曝露された半導体表面において、高エネルギーイオンの衝突により表面に生じた物理的なプラズマ誘起ダメージを高感度・高精度で解析する技術の開発を目指すものであり、特に、 1.ダメージの特性解析とモデリング、2.高精度ダメージ測定技術の開発という2点を主目的として設定している。当該年度においては、プラズマチャンバーにてシリコン基板のプラズマ曝露実験を行い、プラズマダメージを受けた試料群を作成した。このとき、化学反応を排除し、イオンの物理的な運動エネルギーによる効果のみを考慮するため、アルゴンガスを用いた。上記資料群に対し、光学的測定、電気的測定、表面分析などを実施した。特にフォトリフレクタンス分光法は高精度なダメージ測定手法としての応用が期待されている。シリコンのフォトリフレクタンススペクトルの三階微分関数形において、バンド間遷移エネルギーEgや、(ローレンツモデルに関する)広がり係数(broadening parameter Γ)については理論的にBose-Einstein型の関数で表される温度依存性を持つことが知られている。改良型フォトリフレクタンス分光測定装置を用いて上記試料群について測定を行ったところ、理論的な予想とよく合致する温度依存性を得、冷却環境下ではバンド間遷移エネルギーの増加、広がり係数の減少が観測された。広がり係数の減少により実質的にスペクトルの振幅が増加し、冷却により測定感度を向上させることに成功した。これにより従来はスペクトルが得られなかった試料に関しても測定が可能になり、ダメージ定量化手法の適用範囲を拡大させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ダメージの特性解析とモデリングについて、光学的測定、電気的測定、表面分析などを横断的に実施し、ダメージの特性についての知見が深まった。これらの知見を通じ、共同研究者によるダメージの形成過程についての有効なモデルを構築するプロセスに貢献した。2.高精度ダメージ測定技術の開発について、改良型の測定装置を用いて、測定の適用範囲を拡大させることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ダメージの特性解析とモデリングについて、電気的な測定法との相関関係などの不明な点がいくつか残るため、疑問点の解消に取り組む。また、欠陥の深さ方向分布プロファイリングを推進し、理論的に提案されているダメージモデルの検証を目指す。また、これまでは簡単のためアルゴンプラズマを用いてダメージ形成過程の基礎に関する知見を構築してきたが、異なるガス種の場合のダメージについて実験的に検証を進め、モデルの妥当性を検誕する。ダメージ測定技術について、さらなる高精度化の可能性を検討する。
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Research Products
(14 results)