2011 Fiscal Year Annual Research Report
早期診断を目的とする自律制御型電気化学マイクロデバイスの開発
Project/Area Number |
11J01401
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小嶋 謙一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | μTAS / Lab-on-a-chip / エレクトロウェッティング / 微小電極 / PDMS |
Research Abstract |
近年は疾病診断ツールを各家庭や診療所などで、迅速、簡便かつ非侵襲的検査が行えるデバイスが求められている。そこで本研究では日常的に使用できる疾病診断デバイスの開発を目的としている。これを実現するために本年度は溶液の自律的送液機構を構築した。 【エレクトロウェッティングを応用した一電極系バルブ】バルブの構造は親水性のガラスと疎水性PDMSからなる2本の分離された微小流路に、一方に金電極、他方に亜鉛電極を露出させ形成した。金電極側の流路に試料溶液を注入すると、金電極ははじめ疎水性であるため、毛細管現象で進行した試料溶液は金バルブ手前で停止した。次に、もう一方の流路に電解液を注入し、亜鉛電極上を通過したとき金電極が分極され、電解液がバルブを通過することが確認できた。 【化学的マイクロポンプ】マイクロポンプは二酸化マンガンによる過酸化水素の分解反応で生じる酸素気泡の体積膨張を駆動力とした。ポンプは積層構造で上段には被送液溶液用、下段には制御用である過酸化水素溶液用の流路をもった構造となっている。ポンプ部には二酸化マンガンを固定したゲルが充填され、その上部にはダイヤフラムを介して被送液溶液を満たすための区画が設けられている。制御用流路に過酸化水素溶液を導入するとポンプ部で酸素気泡が発生しダイヤフラムが押し上げられ、被送液溶液が流路中へ送液された。 【pH応答性バルブ】pH応答性バルブは水素電極を応用した。メイン流路にはバルブとして金のマイクロピラー電極を形成した。水素電極は白金黒電極と水素発生用の電極で構成し、白金黒電極はバルブ電極と接続した。メイン流路と水素電極用チャンバーは液絡で接続し白金黒電極はメイン流路まで延長させた。動作確認の結果、任意のpHで開くバルブが構築できたことが分かった。 これらの要素を組み合わせることでこれまでに例のない高機能で高性能な次世代デバイスを実現しうると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自律的送液制御デバイスの構成要素としてエレクトロウェッティングを応用した一電極系バルブ、化学的マイクロポンプを利用したマイクロポンプそして電解液中のpHに応答するバルブを構築することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
自律的送液機構と超高感度検出機構を統合・集積化した疾病診断デバイスを作製する。流路の寸法(幅、高さ)とバルブ、ポンプを適当な位置に配置することで、読み取り専用メモリ(ROM)のように、流路寸法やバルブの位置の情報をチップ上に書き込まれた「プログラム」として用い、決められたタイミングで自律的に送液・混合し、実サンプル検査を行うデバイスを実現する。
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