2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01733
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
広瀬 稔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 新谷L関数 / ヘッケL関数 / 整数論 / ゼータ関数 |
Research Abstract |
本年度は主に正規新谷L関数とヘッケL関数の関連性について研究を行った。ここでいう正規新谷L関数は正則新谷L関数に正規化という操作を加えたものであり、正則新谷L関数はヘッケL関数の研究のため新谷卓郎が導入した多重型ディリクレ級数の一種である。正規新谷L関数は関数等式などの著しい性質をもち、ヘッケL関数の特殊値の研究などへの応用などが期待される。ただし、ヘッケL関数を正規新谷L関数を用いて表すには複数の困難があった。一つ目の困難として基本領域のとりかたが挙げられる。従来の基本領域の取り方では境界上に和を取る範囲の点が含まれてしまうため、正則新谷L関数で表す目的のためには直接用いることが出来なかった。二つ目の困難として正規化の問題がある。新谷L関数は多重型ディリクレ級数としての明快な無限級数表示をもつが、正規新谷L関数はそのような表示を持たないため、無限級数として定義されているヘッケL関数とどう関連付けるかという問題があった。本年度はこの二つの困難を解決するための研究を行った。まず、一つ目の困難を取り除くため、基本領域をずらす操作を考え、実際に境界上に和を取る範囲の点を含まないような基本領域を取ることが可能であることを総実代数体の場合に示した。また、二つ目の困難に関しても正規新谷L関数の性質を詳しく調べ、実二次体のヘッケL関数が正規新谷L関数を用いて表示されることを示した。また、より柔軟な新谷L関数の取り扱いと理論整備のために、新谷L関数の定義を拡張することを考えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新谷L関数の研究が予想以上に進展したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り新谷L関数の研究を進める。特に、総実ではない代数体の場合の考察を進め、また新谷L関数の理論の応用も探る。
|