2012 Fiscal Year Annual Research Report
戦国楚簡の総合的研究-中国思想史と古文字学の観点から-
Project/Area Number |
11J01825
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
草野 友子 島根大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 戦国楚簡 / 中国思想史 / 古文字学 / 上博楚簡 / 国際情報交換 / 中国:台湾 |
Research Abstract |
1.戦国楚簡の釈読と検討:本年度は、上博楚簡(上海博物館蔵戦国楚竹書)第八分冊所収の楚地域に関する文献『命』の釈読を行い、『中国研究集刊』に掲載された。2012年12月末には上博楚簡の第九分冊と清華大学蔵戦国竹簡の第三分冊が公開され、2013年3月の中国出土文献研究会の研究会合にて、上博楚簡第九分冊の全文献の概要を報告した。また、既発表の論文の修訂・中国語翻訳版を『略珈史苑』2012巻(武漢大学歴史学院主編、2013年4月刊行予定)に投稿し、掲載が決定した。 2.在外研究と実地調査:2011年11月から2012年11月まで、武漢大学簡畠研究中心にて在外研究を行い、出土文献と古文字学の専門知識を学んだ。2012年6月には、安陽の殷墟・中国文字博物館、鄭州の河南省博物院等に赴いて調査を行った。8月には中国出土文献研究会の学術調査に同行し、上博楚簡、岳麓書院蔵秦簡、里耶秦簡、長沙簡牘博物館所蔵三国呉簡・漢簡の実見調査と現地研究者との対談を行った。これにより簡腰資料の詳細・研究状況・今後の公開予定等を知ることができた。 2013年1月には再び武漢大学簡帛研究中心を訪問し、当時日本では未入荷であった上博楚簡の第九分冊と清華簡の第三分冊を閲覧し、現地研究者と意見交換を行った。また、武漢大学主催講座や武漢大学が新たに入手した「武漢大学蔵戦国楚簡」の発布会に出席し、最新情報を入手した。さらに荊州博物館・宜昌博物館・荊門市博物館等に赴いて調査を行った。 3.国際学会での口頭発表:2012年10月に北京大学中国古代史研究中心主催の「"簡牘与早期中国"学術研討会」(第一届出土文献青年学者論壇)に参加し、「総合討論」にて日本の近年の新出土文献の研究活動やその成果について発表した。2012年11月には武漢にて開かれた「中国簡畠学国際論壇2012・秦簡牘研究」に参加し、口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年11月から2012年11月まで、中国の武漢大学簡吊研究中心にて在外研究を行い、出土文献と古文字学の専門知識の習得に努めた。本年度は、上博楚簡『命』の釈読の発表、上博楚簡第九分冊所収文献の概要執筆、既発表論文の中国語版の投稿、国際学会での発表、実地調査および現地研究者との交流などを行うことができ、研究計画はおおむね順調である。ただし、研究成果を論文としてまとめ、研究誌等へ投稿することができなかったことは大きな反省点である。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である来年度は、一年間の中国での在外研究で得た知識や経験を活かして文献の釈読・論文執筆に取り組みたい。研究計画としては、先頃公開された上博楚簡の第九分冊に楚に関する文献が四篇収録されているため、まずはこの四篇について釈読を行う。続いて、公開済みの楚の在地性文献とあわせて総合的に検討する。そして、楚地域における思想的特色を、中原における思想的状況と対比しながら解明し、中国古代思想史の再構築を試みたい。
|
Research Products
(5 results)