2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J01838
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 啓太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 軌道 / 低推力推進 / 三体問題 / Halo軌道 / Manifold |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は,N体の天体が存在する場において,そのNatural Dynamicsを有効に利用して低ΔV移行を達成し,更に適切な推力制御を組み合わせて実用性を向上させた軌道移行計画を設計することである. 将来の宇宙開発構想として,惑星間を往復するような計画がある.しかし,スペースシャトルのような単一の宇宙機が地球を出発して直接惑星に到着することは,実際には困難である.地球の重力圏の外側に中継点としての宇宙港を設け,そこまでは化学推進のような大推力を出せる推進機関を持った宇宙機によって移動し,その後は電気推進のような低推力連続推進を持った宇宙機で惑星まで航行することが,燃費の観点から望ましい.このような天体間の軌道計画を行うためには,(1)中継点としての宇宙港をどのように軌道上に維持するか,(2)その宇宙港にどのように宇宙機を送るか,あるいはそこから脱出させるか,などの検討が必要である. 本研究では,中継点としてL点を利用することを考え,L点近傍の小ハロー軌道の設計及び,その投入・脱出軌道について検討を行った.太陽-地球-宇宙機の3体問題をモデルとし,正点近傍を定常的に周回する軌道(小ハロー軌道)を得るため,低推力制御を考えた最適制御問題を解いた.数値計算より,L点近傍に維持する為に必要な制御量は,1周期あたり1.2m/s,1年あたり2.4m/s程度であることが導かれた.このとき,宇宙機に加えられる加速力は10^(-7)m/s2のオーダーとなり,十分に小さいと言える. 投入・脱出軌道に関しては,小ハローに関するManifoldsを算出したものの,それが地球周回軌道と接続できる解が現状で見つかっておらず,今後の更なる研究が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低推力推進飛行を扱う理論の構築から始まり,運動方程式の導出,計算用プログラムの開発を行っている.計算用プログラムの基礎部分の構築は終了し,低推力推進飛行のほとんどの軌道計算に対応することができる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績概要欄に記述した通り,ここまでに天体間軌道移行の中継点としてのL点の利用を提案し,L点近傍に停留する条件と制御について解を得たが,L点への投入・脱出軌道については議論が不十分である.今後は,その点の解明に注力し,研究を進めていきたい.
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Research Products
(2 results)