2011 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ原虫の潜伏感染を制御する原虫プロテインキナーゼの機能解析
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11J02037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉 達紀 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トキソプラズマ / プロテインキナーゼ / 潜伏感染 |
Research Abstract |
トキソプラズマ原虫が潜伏感染を獲得するために必要な原虫プロテインキナーゼ(PK)を明らかにするため。候補PKに対してのブラディゾイト関連性についてのスクリーニングを行った。 RNAi法については、コントロールとしたGFPに対してトキソプラズマ原虫での遺伝子抑制効果が見られなかったことから、多種の標的をスクリーニングするのに不適であると判断した。 ASKA法で用いられる薬剤1NM-PP1により潜伏感染が誘導されることが確認されたことから、1NM-PP1の標的遺伝子のスクリーニングを行った。 病原性及び、潜伏感染能に違いがあると報告されているPLK株及びRH株のトキソプラズマ原虫株から1NM-PP1の耐性原虫をENU化学無作為変異により作成した。 また、潜伏感染誘導について定量的PCRで定量評価する系の条件を決定した。この測定系を用いて、潜伏感染状態になりやすいPLK株については、耐性原虫が1NM-PP1による潜伏感染誘導効果に対して耐えることが確認された。 標的遺伝子を明らかにするために耐性株の全ゲノムシークエンスを行い、平均カバーレッジ30程度で親株および、耐性株1および2のゲノムリシーケンスができ、親株と耐性株で異なっているSNPの同定をした。 その結果、プロテインキナーゼの中で変異している遺伝子としてTgMAPK1が同定され潜伏感染を規定する遺伝子の一つであると示唆された。 ASKA法を用いてin vivoのトキソプラズマ原虫PK抑制が可能かどうかの検証を行った。 感受性であるCDPK1を標的のモデルとして用い、強毒株であるRH株のマウスでの感染実験を行った。 1NM-PP1の経口投与による治療では、原虫によるマウスの生死率に変化はなかった。しかし、腹腔内投与による1NM-PP1の高濃度投与においては原虫の増殖に差がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたRNAi法によるスクリーニングができなかったものの、代替として使用したプロテインキナーゼ阻害剤誘導体の標的スクリーニングにて、候補遺伝子の同定まで達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
候補遺伝子の個所のみに変異を組み込んだ原虫株の作出により、候補遺伝子の関与の程度を測定する。 耐性株と親株の薬剤存在下での性状を詳細に比較することで、候補遺伝子の機能を解析する。
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Research Products
(5 results)