2012 Fiscal Year Annual Research Report
麹発酵生産物ブトキシブチルアルコールの筋肉生化学的研究
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11J02096
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神園 巴美 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブトキシブチルアルコール / 0日齢 / 単独 / 精製効率 / エタノール / 深胸筋 / 大腿部 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
ブトキシブチルアルコール(BBA)は、麹発酵産物の焼酎粕から発見された成長促進物質である。これまでの研究から、BBAには筋肉タンパク質分解速度の低下に伴う筋肉重量増加に加え、飼料効率の改善や酸化ストレス軽減の効果があることを明らかにしてきた。これらの効果は、BBAがタンパク質代謝だけでなくエネルギー代謝にも関与し、それらが相互に連関する可能性を示唆している。したがって、この点をさらに明らかにするため、BBA投与試験を行ってきた。しかし、BBAの効果の再現性がやや低いとの問題が生じ、さらなる精度の高い実験系の確立が望まれた。そこで、本研究では、まず(1)実験条件をそろえた精度の高い実験系を確立、次に(2)その実験系でブロイラーの(1)筋肉タンパク質代謝や(2)エネルギー代謝に対するBBAの作用をピンポイントで精査し、最後に(3)BBAによる代謝連鎖機構を考察することとした。平成24年度は(1)と(2)を中心に研究を展開した。 0日齢ブロイラー(♂)を用い、BBA投与濃度は30mg/kg飼料で投与期間は14日齢までとし、対照区(A)、BBA単独(B)、BBAが安定して含まれ弱酸性の抗酸化活性の高い焼酎粕存在下BBA(C)、または、抗酸化活性の高い糖蜜存在下BBA(D)の筋肉重量および筋肉タンパク質分解に対する影響を調べた。なお、BBAは精製効率の高いものを使用し、エタノールに溶解してから飼料に添加した。その結果、A区に比べてB区で大腿部重量はやや増加し、さらに、筋肉タンパク質分解速度は低下することが示されたが、C、D区では差が認められなかった。次に、A、B区の2区を設定し、投与期間を27日齢まで延長した試験を行った。その結果、B区で深胸筋と大腿部の重量は増加し、筋肉タンパク質分解速度は低下すること、また、飼料効率の改善などこれまでと同様の効果が再確認できた。したがって、BBA投与の実験系では、BBAの精製効率を高め、エタノールに溶解してから飼料に添加し、それの0日齢からの投与が重要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行途上でBBAの効果、すなわち、筋肉重量の増加およびタンパク質分解の抑制効果の再現性がやや低いとの問題が生じた。そのため、当初計画していたBBAによる筋肉タンパク質代謝およびエネルギー代謝への影響を調べる以前に、BBAの実験条件をそろえた精度の高い実験系の確立を検討することとなったが、それを平成24年度で確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度でBBA投与の実験系を確立し、これには、BBAの精製効率を高め、エタノールに溶解してから飼料に添加し、それの0日齢からの投与が重要であることが判明した。さらに、BBAの筋肉タンパク質代謝およびエネルギー代謝に対する影響の概要を掴むことができた。今後は、確立した系を用いてBBAによる筋肉タンパク質分解速度低下の機序を解明し、さらに筋肉エネルギー代謝に対する影響を精査して、BBAによる代謝連鎖機構を考察する。
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Research Products
(2 results)