2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J02233
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
上山 健太 静岡大学, 創造科学技術大学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非可換代数幾何学 / AS-Gorenstein algebra / Gorenstein次元 / Auslander-Bridger公式 |
Research Abstract |
本年度は非可換代数幾何学において重要な研究対象であるAS-Gorenstein algebraの研究を行った.特にAS-Gorenstein algebraをGorenstein次元の観点から考察した. 今に至るまでGorenstein次元の理論は,可換ネーター局所環の研究において深く研究されており,Gorenstein局所環の特徴付けをはじめとするきれいな結果が得られているが,この研究の結果はその非可換類似を与える. 例えば,balanced dualizing complexを持つネーター連結次数付き代数がAS-Gorensteinであることとbalanced dualizing complexのGorenstein次元が有限であることが同値であることを示した.この結果はbalanced dualizing complexの射影次元有限がAS-Gorenstein algebraを特徴付けるというDong-Wuの先行結果の一般化にもあたる. さらに,この結果を示す過程でbalanced dualizing complexを持つネーター連結次数付き代数に対してAuslander-Bridger公式が成立することを示した.可換環の場合,ネーター局所環の仮定のみでAuslander-Bridger公式は成立するが,非可換の場合,Auslander-Bridger公式を満たさない(それどころかAuslander-Buchsbaum公式さえ満たさない)ネーター連結次数付き代数の例がRogalski-Sierraによって最近構成されている. これらの結果は論文にまとめ,現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末にAS-regular algebraの次数付き森田同値性に対する研究の成果をまとめることができたので,本年度はAS-Gorenstein algebraの研究を行った.AS-Gorenstein algebraとGorenstein次元の関係を整理したことで,AS-Gorenstein algebra上のCohen-Macaulay加群の状況を把握することができた.これまでに得られた結果は次年度以降のAS-regular algebraやAS-Gorenstein algebraに関わる様々な三角圏の研究の礎となる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は非可換代数幾何学や表現論に現れる三角圏,特に量子射影空間の導来圏やAS-Gorenstein algebra上のCohen-Macaulay加群の安定圏の研究に取り組む.前者の研究については,源氏・毛利氏の共同研究によってAS-regular algebraから大域次元有限の有限次元代数が構成でき,その導来圏が量子射影空間の導来圏と三角圏として同値であることが示されているので,この対応を通して量子射影空間の導来圏を考察する.後者の研究ではAS-Gorenstein algebraがCohen-Macaulay有限表現型であったり,孤立特異点であったりするときに焦点を当ててCohen-Macaulay加群の安定圏を考察する.
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