2011 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡および光刺激による大脳基底核主細胞のスパイン形態可塑性の研究
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11J02244
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳下 祥 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 2光子励起顕微鏡 / ケイジド・グルタミン酸 / 光遺伝学 / スパイン / 可塑性 / 側坐核 / ドーパミン |
Research Abstract |
側坐核において、樹状突起スパインの増大/収縮という形態可塑性と長期増強/長期抑制を調べ、この形態可塑性がドーパミン・シグナルによりどのように調節を受けるかを調べることが本課題の目標である。この目的のため、マウス脳の急性スライス標本において、2光子刺激によるグルタミン酸シグナルの操作、光遺伝学によるドーパミン刺激の操作を組み合わせて側坐核主細胞である中型有棘細胞のスパインに可塑性刺激を与える実験系を本年度は確立した。具体的には、ドーパミン神経特異的にCreを発現する遺伝子改変マウスを導入し、Cre依存的にチャネルロドプシンを発現するウィルスベクターを作成した。このウィルスを脳定位的に注入し、チャネルロドプシンがドーパミン神経特異的に発現することを確認した。 さらに、電気化学的方法により、青光刺激で実際にドーパミンが放出されることを確認した。中型有棘細胞はD1受容体、D2受容体と発現するドーパミン受容体が異なる2系統の細胞種があり、それぞれドーパミンの作用が異なることが知られている。そのため、これら細胞種を標識するため、それぞれの細胞種特異的なサブスタンスPとエンケファリンプロモーター下に蛍光蛋白を発現するウィルスベクターを作成し、脳定位的に注入し発現することを確認した。次に形態可塑性を誘発する条件検討を行った。脳急性スライスにおいてウィルスで標識された中型有棘細胞からホールセル記録をすると伴に、蛍光色素を潅流させスパインを2光子励起顕微鏡で観察した。さらに、2光子刺激によりケイジド・グルタミン酸を分解させることでグルタミン酸刺激を1シナプス単位で与え、同時に電極より電流注入を行いスパイク発火を引き起こした。このSpike-timing dependent plasticity(STDP)長期増強刺激により、シナプス可塑性・スパイン増大を誘発する条件検討を行い、形態可塑性を誘発させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初スライス培養系において実験を進める方針でいたが、ウィルスによる遺伝子導入技術の導入により急性スライスにおいて実験する方法に切り替え、当初目標とした実験系の確立は順調に達成できた。一方、in vivo観察についても当初目標としていたが、手術手技による侵襲の程度を評価した結果、生理的な機能を保った状態での観察は困難という結論に達し、スライスでの実験に専念することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
急性スライス標本において、当初目標としていた可塑性実験を遂行する。
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