2011 Fiscal Year Annual Research Report
提携形成/最適化/利得配分の同時解決による協力ゲーム理論の再構築
Project/Area Number |
11J02318
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 俊 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゲーム理論 / マルチエージェントシステム / 簡略表記法 / 計算複雑性 |
Research Abstract |
平成23年度には,協力ゲーム理論における利得配分アルゴリズムおよび,提携構造形成アルゴリズムについて研究した.具体的には,Marginal Contribution Networksという簡略表記法を用いて提携の利得を表現した場合に,従来は不可能であった,負の利得を与えるルールが存在する場合の提携構造形成アルゴリズムの提案を行った.これにより,外部性等がある場合に,自然にゲームを表現し,提携構造形成問題を解くことが可能となる.加えて,Synergy Coalition Groupsという別の簡略表記法を用いた場合に,利得配分を求めつつ,最適な提携構造の探索を行うアルゴリズムの提案を行った.これらの2つの問題は従来個別に解かれていたが,同時に解くことによって大幅な計算量の削減が期待できる.一方,上記は参加者の利得が譲渡可能であると仮定した場合の成果であるが,それが不可能である場合の研究として,マッチング理論の研究も行った.本年度は,極めて自然ながらこれまでほとんど研究がされていなかった問題である,割当人数に下限(割当の最低人数)が存在する場合の研究を行い,戦略的操作不可能であるマッチングアルゴリズムの提案を行った. 本年度の研究成果は,論文誌・国際会議に採択され,国内会議だけでなく,国際会議・国際ワークショップにおいても発表を行った。特に、エージェント分野最難関の国際会議であるAAMAS2012(the Eleventh International Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systems,採択率 Full paper20%, Extended Abstractを含めると43%)において,Full paperおよびExtended Abstractで,それぞれ1本ずつの論文が採択されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である,提携形成/行動の最適化/利得配分を同時に行う表記法,アルゴリズムの開発へ向けて,本年度はこれらのうち,提携形成/利得配分を同時に行うアルゴリズムの提案を行った.また,外部性を自然に表現できる表記法における提携構造形成アルゴリズムの提案,および利得の譲渡が不可能な場合であるマッチングアルゴリズムの提案等,問題の一般化という課題に対しても成果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度および研究代表者のこれまでの研究成果として,提携形成/利得配分および提携形成/行動の最適化を同時に行うアルゴリズムの提案を行った.来年度は,これらのアルゴリズムの組合せることによって,3つの問題を同時に解決する手法を検討する.両者において,問題の表記法に違いがある等,単純に組み合わせることは容易ではない.一方,問題の一般化に関しても,特に利得が譲渡不可能である場合に関して,マッチング理論の研究を足掛かりに検討する.
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Research Products
(8 results)