2011 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の減数分裂に必須なノンコーディングRNAであるmeiRNAの局在化機構
Project/Area Number |
11J02653
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
七野 悠一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 減数分裂 / non-codeing RNA / RNA局在化 / RNA分解 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
分裂酵母に存在するnon-coding RNAであるmeiRNAは,自身の遺伝子座に凝集し,核内でドット状の構造体となる。meiRNAドットは減数分裂に必須であるため,この局在化機構の解明により,分裂酵母の減数分裂に対する理解と,RNAを含む核内構造体の形成機構についての知見がより深まると期待される。 今年度はまずmeiRNAの局在化機構に関与する因子の単離を試みた。レポーター遺伝子を用いた遺伝学的スクリーニングや,転写終結やRNAプロセシング関連因子で,meiRNAのドット形成率に影響する変異体の探索から,いくつかの候補因子をとして得た。 meiRNAの局在化機構に重要な領域を詳細に決定するため,付近の配列を注意深く調べていたところ,meiRNAの下流1kbの領域にDSRを構成する6塩基モチーフが大量に存在することがわかった。 DSRは減数分裂特異的な遺伝子に存在し,減数分裂抑制因子Mmi1によって認識され,RNA分解系へと誘導される目印配列である。まず,meiRNAがMmi1の標的となっているか検討するため,mmi1変異体におけるmeiRNA量を計測したところ,上昇していた。mmi1変異体において検出されたmeiRNAは,今まで解析してきたmeiRNAよりも長いものであった。meiRNAの配列のうち,減数分裂の進行に重要な領域は,長いmeiRNAにのみ存在する3'側の領域であり,この領域はMmi1と直接結合することが分かった。更に,Mmi1の補助因子であるRed1の変異体で,通常1個しか観察されないmeiRNAドットが複数個観察されることが分かった。 以上から,meiRNAの発現調節,ドット形成にMmi1の機構が重要であるということが分かった。来年度は,meiRNAとMmi1の関係性をより詳細に解析し,RNA局在化と発現調節の関係について解析していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,meiRNAの局在化機構に関わる因子を探索する系を構築し,実際に探索を行なうことが目標であった。予定していた遺伝学的スクリーニングの実験や転写終結・RNAプロセシング関連因子におけるmeiRNAドットの観察実験からは,いくつかの候補因子を獲得している。また,meiRNAとMmi1やRed1という因子の関与も見出すことができた。よって,因子の特定という今年度の目標は概ね達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Mmi1や補助因子Red1とmeiRNAの発現制御や局在化機構との関連が明らかになったので,今後はMmi1やRed1がどのようにmeiRNAに対して作用しているのかについて研究を進めていく。まず,Mmi1-DSRを介したRNA分解システムを構成する因子におけるmeiRNAの発現を調べ,meiRNAの分解制御に関与している因子を同定する。その過程で,meiRNAの長短2種類の転写産物が生成される原因や,従来のDSRを含む転写産物との制御の違いを追求していきたい。また,red1の変異体でmeiRNAが複数個観察されるため,Red1にはmeiRNAドットを束ねる機能があると考えられる。その機構がどのように制御されているのか,meiRNAやmeiRNA遺伝子領域との結合の有無などを検討しながら,meiRNAの局在化機構について更なる解析を進めていく。
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Research Products
(3 results)