2012 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学プロテオミクスを用いた胸腺特異的ユビキチンリガーゼの機能解析
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11J03061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 隆好 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ユビキチン / F-boxタンパク質 / プロテオミクス |
Research Abstract |
前年度までに、ポジティブ・コントロールとしてのユビキチン化酵素一基質関係(MDM2-p53)を用い確立した、「インタラクション・プロテオミクス法」がユビキチン化酵素からその特異的な基質を同定するための手法として有効であることを示したが、ユビキチン化酵素Fbxl12については同定した全ての基質候補が評価実験により陰性と判明したことを受け、当該年度においてはまず、「インタラクション・プロテオミクス法」の改良を行った。主な改良点としては、Fbxl12の細胞での発現量をレトロウイルス濃縮による遺伝子導入法により安定的かつ高いものにすることに成功したのに加え、用いる細胞を従来使用していたHEK293T細胞からヒト白血病T細胞株であるJurkat細胞に変更し、至適条件を調整することに成功した。その結果、新たな基質候補2つを同定することに成功した。 次に、その基質候補に対する評価実験を行った。基質候補とFbxl12の酵素活性を阻害するF-boxドメイン変異体との結合親和性を細胞内で免疫共沈降実験により調べた所、2つのうち1つの基質候補についてFbxl12の野生型に比べ有意に高いことが明らかとなった。また、Fbxl12ノックダウン細胞株及びFbxl12ノックアウト胎児マウス由来の繊維芽細胞において、この基質候補の有意な蓄積が認められ、タンパク半減期が遅延していることが明らかとなった。更に、ユビキチン化アッセイにより、新規基質候補がFbxl12によって特異的にポリユビキチン化を受けることが試験管内で示された。 この結果を受け、今後は、組織・個体レベルでの解析を行い、今回同定した基質候補のFbxl12の下流遺伝子としての役割を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、「インタラクション・プロテオミクス法」を用い、Fbxl12の新規基質を同定・評価する段階まで進めたという点において。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基質と評価されたものについて、WTとFbx112 KOマウスの胸腺組織を用いた解析を行う。具体的には、基質遺伝子の発現量や発現部位の変化をみること、Fbxl12 Koマウスの胸腺組織細胞でのRNAiによる下流遺伝子の安定性に対する表現型改善の有無やFACSによるT細胞の系譜の変化等を解析する。
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