2011 Fiscal Year Annual Research Report
非整数階微分モデルを用いた地殻構造の効率的推定と地殻エネルギーシステムの最適設計
Project/Area Number |
11J03250
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 杏奈 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地熱開発 / 還元井の設計 / 貯留層解析 / 最適化 / 非整数階微分 / 物質移動モデル |
Research Abstract |
本研究は、地熱の持続性維持のための最適な還元井の設計の方法論の構築を目指す。達成するためには、地下構造の第一次・第二次推定および還元井の最適条件の算出を実行可能にしなければならない。 研究課題(1)非整数階微分を含む物質移動モデル構成パラメータに基づく大局的な地下構造推定法の構築物質移動モデルの構成パラメータと地下構造との関係を明らかにすることによって、大局的な地下構造の分類ができるようになる。fADE構成パラメータのうちPeは、貯留層から得られるデータで決定できる可能性が示唆された。これは既存研究で報告されている傾向と同様の傾向であり、地下における物質移動現象の説明に役立てられると考えられる。 研究課題(2)地層温度分布に基づく局所的な地下構造の決定 応答と地下構造との関係を明らかにすることによって、局所的な地下構造の推定ができるようになる。iTOUGH2を導入し、熱流体のシミュレーションが実施できるほか、感度解析、パラメータ推定等が実行可能となった。このシミュレータをき裂ネットワークモデルと組み合わせることによって、き裂ネットワークモデルの逆解析を実施する。 研究課題(3)流体・熱移動解析による還元井設計の方法論の構築 き裂型貯留層モデルを対象とした流動・熱移動解析のシミュレーションコードを作成し、所要の期間において持続可能な地熱抽出を行うための還元条件を最適化する手法を提案する。fADEモデルを用いることによって、坑井間距離を変化させた場合のトレーサー応答を従来モデルよりも精度よく推定することが可能なことを定量的に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているものの、研究課題(1)に対し、期待する物質移動モデルの構成パラメータと地下構造との関係が明瞭化されなかったため、実験による実証に踏み切らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題(1)に対し、さらに詳細に物質移動モデルの構成パラメータと地下構造との関係を解明することを目的として、多変量解析を実施し、トレーサー挙動を特徴づける方法論を構築する。実験による実証はせずに理論的な整理でまとめる予定である。 研究課題(2)に対し、iTOUGH2とき裂ネットワークモデルを組み合わせることにより、逆解析可能なシミュレーションモデルの構築を目指す。
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