2012 Fiscal Year Annual Research Report
コーン種皮バイオマスの機能特性を付与する化学構造と物性の相関
Project/Area Number |
11J03259
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 有希 京都大学, 農学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | アラビノキシラン / β-グルカン / トウモロコシ果皮 / 水分吸着特性 |
Research Abstract |
(1).トウモロコシ果皮主要構成成分であるアラビノキシランの水に対するトウモロコシ種子防御機構への影響を解明するために、水との相互作用を解析可能な水分吸着特性解析をアラピノキシランに対して行った。その結果、アラビノキシランの吸着挙動はシグモイド状のIUPAC II型であった。アラビノキシランの水吸着挙動の解析手法として、新しくDual Sorption (DS)モデルを導入し、従来の解析モデルと比較検討した。この新規DSモデルを適用した解析の結果、分岐の多いアラピノキシランはより水を吸着することが明らかとなり、従来の解析モデルでは評価できなかった水分吸着特性パラメーターの算出が可能となった。以上の結果、トウモロコシ果皮には、水をより吸着保持するアラビノキシランが豊富に含有されていることが判明し、水分損失を低減する機能がアラビノキシランによって付与されていることが強く考えられた。 (2).尿素NaOH混合溶媒を適用することでトウモロコシ果皮からβ-グルカンの効果的な抽出を試みた。その結果、トウモロコシ果皮β-グルカンの98%を回収することが可能となった。従来のアルカリ抽出法と比べて、約30男回収率が改善された。本手法で得られた試料中のβ-グルカンの含有率は6.3%と低かった。そこで、β-グルカンの高純度化をセルロースカラムクロマトグラフィーによって試みた。カラムにβ-グルカン溶液を吸着後、アルカリ溶出によってβ-グルカンを回収した結果、純度76.9%のβ-グルカンを単離回収することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究目標として挙げていた点(機能性を付与する多糖の化学構造決定)は、上記に記したように達成できたと考えている。以上のことより、現在までの達成度として、当初の計画通り、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アラビノキシランの水分吸着特性をより詳細に解析するためには、低相対湿度条件でのより精密な実験が必要であることが考えられた。そこで、今後の実験計画として、ガス吸着分析機器を用いた実験を導入する。近年発展したガス吸着分析機器は非常に精度が高く、相対湿度を3%刻みで調製することが可能とされている。この機能を最大限活かすことで、目的の低相対湿度条件での精密な実験が可能となることが考えられた。
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