Research Abstract |
半導体露光装置の振動制御において,絶対変位信号を用いたダイレクトフィードバックおよびダイレクトフィードフォワードを活用するため,絶対変位センサの改善を行ってきた.研究成果は,以下の三つである.一つ目は,絶対変位センサの傾斜設置に起因するアライメント誤差の改善である.同センサに,比例ゲイン小かつ時定数大の制約をもつ傾斜補正用PI補償器を実装すると,変位信号にアライメント誤差が残留する.そこで,オペアンプの入力電流・電圧オフセット,およびコンデンサのリーク電流・誘電体吸収に着目して,PI補償器を構成する回路素子の選定を行った.結果,入力電流オフセットの小さいオペアンプの選定により,アライメント誤差の抑制精度を向上できた.これは,変位センサを制振構造物に装着するときの問題解決を図る内容であり,実応用に供するための技術開発ができたという意義がある.二つ目は,検定コイルの巻数変更による検出感度の改善である.ここでは,変位センサを空圧式除振装置に搭載して,加振試験による感度校正を実施した.検定コイルが通常巻きの場合,加速度・速度・変位信号の検出感度は,それぞれ4.8V/G・0.195V/kine・40.2mV/即である.一方,二倍巻きに改造するとそれぞれ5.3V/G・0.223V/kine・60.0mV/μmに向上した.絶対変位センサの検出感度が不足する場合は,応用先が限定的となる.感度校正を通じて,大型構造物の制振応用に適用できるレベルであることが示せた.三つ目は,絶対変位センサの高周波ダイナミクスに関する考察と低周波帯域の拡大である.ここでは,本研究で提案する一階微分型と,過去に提案されている二階微分型の絶対変位センサについて根軌跡解析を実施した.結果,制御ゲインの調整範囲が,内部検出器の検出感度に基づくことを示せた.
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