2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J03658
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山ノ井 航平 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シンチレーター / 結晶工学 / X線自由電子レーザー |
Research Abstract |
本年度はZnO結晶に不純物をドープすることで、発光寿命(応答速度)の高速化を行った。従来のZnO結晶の発光寿命は1ナノ秒程度であるが、鉄をドープすることで約100ピコ秒、インジウムをドープすることで数ピコ秒まで高速化することに成功した。また、通常、ZnO結晶を水熱合成法で作る場合、安定に成長を促進させるためにリチウムやカリウムを加えるが、インジウムをドープする際にリチウムの添加濃度を微調整しないと上手に成長しないことがわかった。ドーピングを行うことで、発光寿命の高速化には成功したが、同時に発光強度も小さくなった。これはシンチレータとしては好ましい結果ではないものの、時間分解した際のピーク強度はそれほど大きく落ちていないため、タイミング計測用のシンチレータとしては問題ないと言える。目標であった数百フェムト秒の応答速度までは届かないものの、ピコ秒の時間応答を持つシンチレータは世界になく、現時点で実際のX線自由電子レーザーでもラフな時間調整などに使用することができる。シンチレータを使用することで、レーザーの照射タイミングを計測する際にターゲットとシンチレータを入れ替えるだけで、ターゲット位置でのタイミングを手軽に計測できるという利点があり、X線自由電子レーザーの極端に限られた貴重なマシンタイムを有効に使用することができる。更に、インジウムの他にも様々なドーパント試したため、用途に応じた発光寿命と発光強度を持つシンチレータを製作することが可能となった。これにより、EUVリソグラフィーなど、X線自由電子レーザー以外での用途も見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたポンププローブ実験は行えなかったものの、予定よりも早くドーパントの最適化が行え、実際の使用に耐えうる結晶がすでに完成しているため、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
時間分解能の要求は概ね満たしているため、今後は空間分解能の調査を行う。不純物をドープした結晶としていない結晶で発光の拡散の程度が変化することが予想される。
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