2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J03658
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山ノ井 航平 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | シンチレーター / 結晶工学 / X線自由電子レーザー |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、ZnO結晶の改良とその精度の向上を行った。さらに、改良したZnO結晶を実際にシンチレータとして使用するデモンストレーションを行った。また、改良したZnO結晶の評価をポンププローブ実験と低温での発光計測を行った。 10ps以下の高速応答性を実現できたことにより、実際にこれをシンチレーターとして使用し、EUV自由電子レーザーと電気的にタイミングが同期しているTi:sapphireレーザーの同期精度のモニターを、不純物をドープしたZnO結晶をシンチレーターとして用いて計測を行った。手法としては、EUV自由電子レーザーの光でZnO結晶を励起し、その発光のタイミングをフェムト秒ストリークカメラでモニターした。この時、同時に同期しているTi:sapphireレーザーの光を同じストリークカメラで見ることで、EUV自由電子レーザーと同期レーザーの同期精度のモニターを行った。シンチレーターを用いることによってリアルタイムで自由電子レーザーと同期レーザーの同期をモニターすることができた。さらに、本実験ではフェムト秒の分解能を持つストリークカメラを使用することができたので、これまで10ps以下としかわからなかった発光寿命を計測することができ、結果、その寿命は3ps程度であることがわかった。 特にZnO結晶中の不純物ドープ効果のメカニズムが解明されていなかった。そこで、EUV線自由電子レーザーと同期しているチタンサファイアレーザーを用いてポンププローブ実験を行った。この実験はポンプレーザーにより、不純物準位を電子で埋め、その後のプローブレーザーで改めて励起する。ポンプレーザーとプローブレーザー励起からの発光を比較することで不純物準位の影響を調べることができる。不純物ドープZnO結晶と何もドープしていないZnO結晶で大きく性質が異なることが分かった。 以上のことにより、X線自由電子レーザーの新たなシンチレータとしてのZnO結晶の優位性が明らかになった。それだけではなく、極端紫外線等の短波長光源用のシンチレータとして汎用的に使用できる性質を持っていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の最も難しいとされたポンププローブ実験の遂行に成功した。また、実際にEUV自由電子レーザーを用いてシンチレータとしての性能評価、及びデモンストレーションに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でシンチレータとしての時間応答性は極限にまで達したと考えられる。今後は画像素子としての評価を行う。具体的にはZnO結晶の表面に照射したレーザー、ランプ光源等で励起し、ZnO結晶の発光の面内分布、均一性の評価を行う。さらに、改良したZnO結晶の大型化への着手も視野に入れる。
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