2011 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・着床期における栄養膜細胞-子宮細胞相互作用の解析
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11J03674
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
唄 花子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 栄養膜細胞 / 子宮細胞 / 相互作用 / インターフェロン・タウ |
Research Abstract |
【研究の内容・結果】 平成23年度は、研究実施計画に従い、着床期において栄養膜細胞が機能する、つまりインターフェロン・タウ(IFNT)を産生することができるための栄養膜細胞および子宮細胞それぞれにおける遺伝子発現変化の解析を試みた。また、当初の計画に加え、栄養膜細胞と子宮細胞のin vitro共培養実験系の確立および不死化子宮上皮細胞の樹立を試みた。 結果1.転写因子GATA2、GATA3が、以前に示したIFNTだけでなく、多数の栄養膜細胞特異的な遺伝子発現に関与するという結果を得ることができた。また、着床後にIFNTやGATA2、GATA3など栄養膜細胞特異的な遺伝子の発現が低下するに伴い、GATA2、GATA3と同じファミリー因子であるGATA1の発現が上昇し、着床後の栄養膜細胞において役割を担うことを示唆する結果を得た。 結果2.子宮灌流液をウシ栄養膜CT-1細胞に添加することにより、IFNTの発現が上昇するという結果を得た。さらに、ウシ子宮上皮細胞を播種した培養皿にウシ栄養膜CT-1細胞および子宮灌流液を添加することにより、IFNTの発現を含め、着床過程を再現するような遺伝子発現変化が起こるという結果を得た。また、当初実験に用いた子宮上皮細胞は、数回の継代で性質が変化してしまい、安定性に問題があった。そのため、安定した細胞を得るため、子宮上皮細胞の不死化も試みており、現在評価中である。 【研究成果】 これらの研究結果から得られた知見は、論文として投稿し、2本が採択された(Bai et al,2011, 2012など)。レビューとしても3本を投稿し、2本が採択され、1本は査読中である。また、国内外の学会でも成果を報告している(SSR Annual Meeting、日本繁殖生物学会など)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、IFNTの発現に必須の栄養膜細胞と子宮細胞における遺伝子群をより網羅的に解析する予定であった。実際には候補を絞って検討することとなったが、着床期に起こる遺伝子発現変化を追う上で有効な候補因子を明らかにすることができたと考えている。また、当初の計画からの変更はあるものの、共培養実験系の確立や不死化子宮上皮細胞の樹立ができたことは有意義な成果であると考えている。また、今年度には3報の論文を投稿することができており、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の当初の計画では、栄養膜細胞が機能する(IFNTを産生することができる)栄養膜細胞側と子宮細胞側それぞれにおける遺伝子発現変化を網羅的に解析し、それらの変化を一連の流れとしてとらえようとしていた。現在、網羅的解析には至っていないが、今後は得られている因子に着目し、研究を遂行していく。また、当初計画に含まれていなかったが、栄養膜細胞と子宮細胞のin vitro共培養実験系の確立および、不死化子宮上皮細胞の樹立は、研究を行う上でより重要であると考え注力していく。こうした検討は、当初からの変更はあるものの、栄養膜細胞側と子宮細胞側の相互作用を明らかにし、受胎率向上を目指すという目的のために有意義な検討であると考えている。
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Research Products
(6 results)