2011 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱超合金の自己組織化によるバルク3次元フォトニック結晶創製
Project/Area Number |
11J03724
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 信 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱輻射 / 金属自己組織化 / 周期的微細構造 / 太陽光選択吸収材料 / フォトニック結晶 |
Research Abstract |
本研究の目的はエネルギーシステムの高効率化を目的とした熱輻射スペクトル制御デバイス実用化のための金属表面における周期的微細構造大面積作製技術の確立である。既存の微細構造作製技術では時間やコストの面から解決しなければならない問題が多い。それに代用し得る大面積作製技術として、本研究では合金相変態の分野において組織形態をコントロールし、金属の自己組織化を用いることでバルク3次元フォトニック結晶等の作製を考えている。初年度の研究目標の1つ目は析出粒子が規則的配列する最適処理条件の決定である。金属の自己組織化を用いた周期的微細構造作製のメカニズムは時効熱処理による二相分離と二相分離した相における選択的エッチングである。同一の時効熱処理を施したサンプルに対してエッチング条件の最適化を行った。エッチング条件のパラメーターとして最も影響があると考えられるエッチャントの温度、濃度について検討を行い、温度25℃、濃度60%程度の条件が最適であるという結果が得られた。2つ目は組織形態のコントロールによる任意の構造作製技術の確立である。時効熱処理時間、温度を変化させ、構造サイズの制御可能性について検討を行った。その結果、時効熱処理条件により組織形態をコントロールすることで構造サイズの制御が可能であることが示唆された。時効時間と構造サイズについて定義したLifshiftz-Slyozov-Wagner理論と比較したところ、実験とほぼ一致する結果が得られた。これらの知見をもとに熱輻射スペクトル制御デバイス応用例の一つとして太陽光選択吸収材料を考え、適切な処理条件のもとデバイスを作製し昇温試験を行ったところ、黒体塗料を塗布したサンプルよりも高温になるという結果が得られた。これは熱輻射スペクトルを制御することで熱輻射の吸収効率が向上し、太陽エネルギーを有効に利用できる吸収材料となることを示している。この技術を用いることで既存の太陽エネルギーシステムの高効率化が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は申請書に記した年次計画通りに研究を進めることができ、関連する特許出願も行うことができたため達成度を(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの周期的微細構造作製技術を用いた太陽光選択吸収材料の特性向上、耐熱性の更なる検討を行っていく予定である。また、今回得られた最適処理条件の知見をもとに当初の目的であるバルク3次元フォトニック結晶の作製を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)