2011 Fiscal Year Annual Research Report
進行波状制御による乱流摩擦抵抗低減に関する理論的・数値的研究
Project/Area Number |
11J03928
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
守 裕也 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 壁乱流 / 直接数値シミュレーション / 摩擦抵抗低減制御 |
Research Abstract |
流れが乱流へ遷移すると,三次元的な渦運動により壁面摩擦抵抗が層流に比べ著しく増加する.本研究では,この摩擦抵抗低減の為に壁面から与える進行波状制御による制御効果の調査とその低減メカニズムの解明を,数値シミュレーションを用いて行うことを目的とする.この制御は,センサを用いずにフィードバック制御と同程度の摩擦抵抗低減を得ることができるため,低減メカニズムを応用した制御戦略による制御デバイス実現の可能性は高いと期待される.本年度は,吹出し・吸込み制御によるメカニズムの解明,高レイノルズ数における制御効果および進行波状外力による制御効果を調査した. 低レイノルズ数乱流における制御効果およびその摩擦抵抗低減メカニズムについて直接数値シミュレーションを用いて調査した.上流方向進行波では摩擦抵抗低減が得られ,一方下流方向進行波では摩擦抵抗が増加した.摩擦抵抗の乱流寄与分の原因であるレイノルズせん断応力に対し三成分分解を施した結果,周期成分による摩擦抵抗への寄与は線形解析で得られたメカニズムを用いて説明できることが分かった.また,壁面垂直方向外力を用いた進行波による制御効果についても調査を行い,この制御では位相速度がゼロの場合に最大の摩擦抵抗低減が得られることが分かった. さらに,比較的高いレイノルズ数の乱流下での制御効果を調査するために,コヒーレント構造モデルを適用したLarge eddy simulationを実施した.このモデルにより得られた結果は,低レイノルズ数乱流では直接数値シミュレーションで得られた摩擦抵抗値や統計量と,制御流非制御流ともに比較的よく一致した.そして,進行波状吹出し・吸込みによる制御効果のレイノルズ数依存性は比較的弱いことが分かった. また,研究計画に記載した制御面積を限定した場合の効果についても検討したが,他の制御に見られる制御効果の持続性を確認することはできなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画において掲げた進行波状の壁面垂直方向電磁力による摩擦抵抗低減効果の調査,高レイノルズ数における調査の為のLarge eddy simulationの計算コードの開発及び吹出し吸込みによる制御効果の比較の検討については当初の目的を達成した.一方で,流れの安定性に基づく考察は次年度に行うこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
低レイノルズ数乱流における摩擦抵抗低減メカニズムの考察において,周期成分によるものは解明したが,一方でランダム成分が低減されるメカニズムについては不明であり,さらなる検討が必要である.また,高レイノルズ数乱流における制御効果に関しても直接数値シミュレーションによる検討を行う.一方,直接数値シミュレーションに比べ乱流モデルを用いて計算コストを軽減できるLarge eddy simulationについても制御流に適したモデルの選定や開発を行う必要がある.
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Research Products
(4 results)