2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04010
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
田畑 潤 青山学院大学, 文学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 西周時代 / 黄河中流域 / 青銅礼器 / 青銅武器 / 副葬品配置 / 葬制 / 礼制 |
Research Abstract |
本研究は、西周時代を中心に副葬された青銅器の様相を分析し、当時の葬制(礼制)を明らかにすることを目的としている。平成23年度の研究成果について、以下の3点にまとめる。 1、国内調査における研究成果:泉屋博古館(京都本館)蔵の青銅器の調査、主に西周時代の青銅器の調査を行なった。西周時代の前・中・後期それぞれの組成、形状等の詳細な観察により、時期ごとの性格を把握した。モノからみる形態の変化は、当時の使用法(祭祀儀礼)と密接な関係があり、その解明は西周礼制の理解につながる。 2、国外(中国)調査における研究成果:殷周関連遺跡の実地調査及び各省考古研究所・博物館での青銅器資料調査と題し、計2回の調査を行なった。黄河中流域の各遺跡、研究所、博物館で調査を行ない、各地の青銅礼器、青銅武器の形態及び埋葬時の状況を分析した。成果の一部として「弓魚国葬制研究-対外関系分析」と題し、論文を発表している。また、北京大学サックラー芸術与考古博物館において、西周時代にみられる毀兵副葬の重要な資料である、天馬-曲村遺跡出土青銅戈の実測・写真撮影を行った。この研究成果については来年度に論文として投稿予定である。 3、学会発表について:主に国外調査の成果(前年次を含む)を日本中国考古学会関東部会において発表した。陳西省岐山県鳳鳳山(周公廟)遺跡の調査状況を中心に、現地での最新の実地調査を紹介した。大型建築址及び大型墓群を中心とした墓葬分布の在り方から、西周王朝の重要拠点の空間認識への理解を深めた。日本中国考古学2011年度大会では、テーマ発表「モノの拡散」において、「西周時代後期における青銅礼器葬制の変化と拡散」と題し、口頭を行なった。国内外での青銅器調査により、モノ(副葬品)からコト(葬制)を見出す方法論を確立し、西周時代における葬制の拡散拠点の変化を明らかにしたことに重要な意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査(泉屋博古館)で、青銅器の詳細な観察・分析を行えたことは、調査技術の向上とともに、後の中国での円滑な青銅器調査、及び良好な関係性を築くことにつながった。 計2回の国外調査(中国)では、遺跡調査をはじめ、各研究機関と順調に連携した研究活動が行えた。また、中国で論文発表をしたことは、今後の国外調査にもつながる、本年次の研究活動及び成果を日本中国考古学会において計3回発表し、有意義な研究交流が行えた。以上のことから、当初の計画とほぼ同等の成果が挙げられたと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、主に博士論文殷周時代の葬制研究-副葬品配置の分析から-」(仮題)の執筆を中心に研究活動を行っていく。前年度に引き続き、泉屋博古館を中心とした国内での青銅器調査、及び黄河中流域を中心に中国での実地調査を行う予定である。また、前年度の調査結果の一部を「西周時代後期葬制研究-黄河中流域における葬制の変化と拡散-」(仮)、「西周時代青銅戈研究-毀兵副葬研究の問題点-」(仮)等の論文を投稿予定である。
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Research Products
(4 results)