2011 Fiscal Year Annual Research Report
カリブ海沿岸地域文学におけるユーモアとその表現手法
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11J04031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
見田 悠子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガブリエル・ガルシア=マルケス / 柳田國男 / 世界文学 / 現実領域 / 視線 |
Research Abstract |
主にメキシコ国立自治大学においてガブリエル・ガルシア=マルケス、レイナルド・アレーナス、ロベルト・ポラーニョに関する新聞・雑誌記事を入手し、若手ラテンアメリカ文学研究者たちとの交流を通して、メキシコでの研究方法や各作家のメキシコにおける認識のされた方を知ることができた。 大学院では世界文学に関するもののほかに文化人類学、民俗学、アジア学、倫理学を学んだ。現地調査の方法論とともに、明治大正期におきた民衆文化と輸入された近代合理主義的思考の相克の具体的事例を検証したことで、次年度以降の現地調査の足場をつくった。 バルガス=リョサやデビット・ダムロッシュなど常に「世界文学」を視野に入れている作家・研究者の著作を読み込んだ上で、講演に出席し直接の質疑も行った。ツベタナ・クリステワICU教授の外国語文学研究に関する授業からも示唆を得た。 文化人類学的知見と柳田國男研究(主に『遠野物語』『雪国の春』を対象とした)を通して、視線は一つの場の領域と互いの関係性を規定すること、及び現実領域は各時代各人で変化することを具体例とともに再確認した。これによって抽象的になりがちな文学作品分析の姿勢に確固とした根拠を与える事が出来た。 東日本大震災の影響による大学の休暇期間の変動、科研費交付額の減額の可能性が出たなどにより、海外渡航の予定が大きく変わってしまい、メキシコシティ以外での文献収集ができずに終わった。一方、日本での研究活動は予想を超えて充実したものとなった、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響による大学の休暇期間の変動、科研費交付額の減額の可能性があったことなどにより、海外渡航の予定が大きく変わってしまい、メキシコシティ以外での文献収集ができずに終わった。一方、日本での研究活動は予想を超えて充実したものとなり、研究の質としては予想を上回る成果があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
USAやメキシコの研究者との交流を通して知識に関してはより直接的な経験が必要だと感じた。一方、研究方法としては日本での学びに確かな手ごたえがあった. 以上のことから、来年度の調査旅行先はガルシア=マルケスの故郷であるコロンビアとしたい。
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