2011 Fiscal Year Annual Research Report
減算のない非自励離散可積分系が創出する新たな箱玉系と数値計算アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
11J04105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 一貴 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非自励離散可積分系 / 箱玉系 / 数値計算アルゴリズム / 双直交関数系 / R_<II>格子 |
Research Abstract |
離散戸田格子に有限格子境界条件を課したものが,箱玉系や行列固有値計算アルゴリズムとの関わりから重要である.本研究では,非自励の離散戸田格子が直交多項式のスペクトル変形の両立条件として導出できることに着目し,より一般の双直交有理関数系であるR_<II>有理関数に付随する非自励離散可積分系(R_<II>格子と呼ぶ)を考え,そこから得られる箱玉系や数値計算アルゴリズムの性質を明らかにすること,および特に数値計算アルゴリズムについては実際に実用に耐えるものを構築することが目的である. 本年度は,箱玉系の研究を中心に進めた.まず,有限離散戸田格子と箱玉系の関係についての基礎的な結果として,箱容量と運搬車容量と呼ばれる拡張を導入した箱玉系と対応する非自励の超離散可積分系についての結果を英文論文にまとめ,学術雑誌に投稿し出版された.この結果を念頭に置いて,有限超離散R_<II>格子と対応する箱玉系について解析を行ったところ,運搬車容量に加えて,あるルールに従って箱に蓋をするようなパラメータが導入されたものとなっていることが明らかになった.これは,箱容量がある場合に用いた手法を用いると,箱容量が時間と空間について可変になるような箱玉系と捉えることもできそうであるが,空間変数がソリトン単位であることが障壁となって,従来のKdV的な箱玉系の描像との対応についてはまだ明らかでない.この点については,次年度以降の課題として残されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,R_<II>格子の非自励パラメータが対応する箱玉系において果たす役割について基本的なことは解明され,また箱玉系の箱容量と超離散有限戸田格子の関係についての基礎的な理論については論文としてまとめられ出版された,次年度以降の研究を進めていくにあたり,土台は構築されたものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は箱玉系についての研究をさらにすすめ,成果を論文にまとめることが目標である.また当初の計画通り,本年度の成果を踏まえて,有限R_<II>格子の数値計算アルゴリズム(行列の一般化固有値計算アルゴリズム)への応用についても本格的に着手していきたいと考えている.
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Research Products
(5 results)