2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞におけるリサイクリングエンドソームの役割とAATYK1による制御機構
Project/Area Number |
11J04127
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高野 哲也 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | LMTK1 / AATYK1 / Cdk5 / Rab11 / 軸索伸長 / リサイクリングエンドソーム / 膜輸送 / 神経細胞 |
Research Abstract |
申請者はこれまでにCHO-K1細胞を用いた研究で、LMTK1/AATYK1はリサイクリングエンドソームの形成と輸送を制御し、LMTK1のこの活性は神経細胞特異的なキナーゼであるCyclin-dependent kinase5(Cdk5)によるリン酸化で調節されていることを明らかにした(Takano et al.,2010)。本年度はこれらの研究をさらに発展させて、LMTK1が本来高発現する神経細胞での機能を明らかにすることを目的として解析を行った。まず、LMTK1のSer34のリン酸化による軸索形成への影響を調べるために、非リン酸型(LMTK1-S34A)を用いて軸索の長さを測定した。その結果、S34Aを発現した神経細胞において軸索伸長の顕著な増加が観察された。また、この非リン酸化型LMTK1による軸索伸長の促進効果は、Rab11のノックダウンや不活性型Rab11との共発現によって解消させたことから、LMTK1はRab11の上流で軸索形成を制御していることが示唆された。また興味深いことに、LMTK1のノックダウンやLMTK1欠損マウス由来の神経細胞においても、軸索伸長が顕著に促進されることが判った。これらの結果から、LMTK1は軸索形成を抑制する因子であることが示唆された。本研究により、これまで全く判らなかったLMTK1の神経細胞における生理的機能として、Rab11を介した膜輸送制御による神経軸索形成が初めて明確に示された。また、このLMTK1の制御活性はCdk5-p35によるSer34のリン酸化によって調節されていることも判った。即ち、Cdk5-LMTK1/AATYK1-Rab11というシグナル経路は、神経軸索形成を膜の供給を介して制御する新たな経路であることが初めて明らかとなった。これらの成果は、Journal of Neuroscience (in press,2012)にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、LMTK1の神経細胞での生理的機能を明らかにすることが計画されていた。しかしながら、当初の目標達成に加えて、Cdk5-LMTK1-Rab11という新しいシグナル経路が神経軸索形成を制御していることを初めて明確にし、投稿論文としてまとめることが出来た。これは、当初の計画以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、LMTK1の膜輸送制御による神経軸索形成を明らかにした。神経細胞において、リサイクリングエンドソームは樹状突起への輸送にも関与していることが報告されている。そこで、今後はLMTK1が軸索への膜供給と同様にRab11を介して樹状突起への輸送も制御しているのかどうかを検討していく予定である。
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