2011 Fiscal Year Annual Research Report
QUESTにおける非誘導電流生成と自発電流駆動のための高速電子の役割の解明と制御
Project/Area Number |
11J04190
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田島 西夜 九州大学, 応用力学研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 球状トカマク / 非誘導電流立ち上げ / 自発電流 / 捕捉粒子 / 磁場のミラー比 / EC波 |
Research Abstract |
23年度は、トカマクにおける非誘導方式によるプラズマ電流(I_p)駆動に対する自発電流と高速電子の役割を調べるため、奨励金にて多視線での硬X線(HX)計測系の整備を行った。それらを用い自発電流駆動のためのポロイダルベータ(β_p;プラズマの圧力平均に対するポロイダル磁場の圧力)を高速捕捉粒子の捕捉条件を変化させることで調べた。また奨励金により、実験で得られた結果をPlasma Conference 2011にて発表した。 具体的内容:計測系の整備として、幅広いエネルギー領域のHXを検出するために高エネルギー領域に適したCsI(<3MeV)半導体検出器とその波形増幅器等を設置した。またHXの空間分布が得られるよう、検出器を回転駆動できるシステムを奨励金にて整備した。それらと既設の垂直方向計測を併せて以下の実験で放射HXを計測した。実験では、捕捉粒子の閉じ込め条件を複数の磁場のミラー比(磁力線上のトロイダル磁場勾配)のもとでI_pと外部垂直磁場(B_z)の関係及びHXによるプラズマ加熱を調べることでミラー比によるβ_pの違いを調べた。その結果弱ミラー比(1.2)の場合に比べ強ミラー比(2)の場合はHXのエネルギー、フラックス、非等方性は増加したことから、プラズマの温度が上昇していることが分かった。特に垂直方向からの放射は弱ミラー比の場合に比べ強ミラー比の場合でエネルギー5倍、フラックス400倍に増加した。このことからミラートラップされた電子が増加したと推測される。またI_pのB_zに対する関係は、弱ミラー比の場合よりも強ミラー比の場合で任意のI_pの平衡に必要なB_zが大きいことが分かった。このことは強ミラー比の場合の方がプラズマが加熱されているために弱磁場側に移動し、平衡を保つのに必要なB_zがより多く必要であるからだと考えられる。同等のI_pでは電子密度は両者ともあまり変わらず、形状因子の効果以上に平衡関係が異なるため、温度が高い強ミラー配位の方がβ_pが大きいと考える。 意義・重要性;本研究により球状トカマクでの高β_pなI_p立ち上げがミラー比に依存し、それは高速な捕捉粒子の増加に起因することが示された。これは将来の核融合炉の定常運転に貢献すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度研究計画は1.多視線硬X線計測系、それらの駆動システムの整備、2.EC波を用いた高自発電流定常運転の基礎の確立であった。1に関しては終了できた。2番は複数の磁場のミラー比を増加させる実験と印加する垂直磁場を変化する実験を組合すことで、ミラー比によってプラズマの中心温度が変化すること、自発電流の基となる高速捕捉電子・β_pが変化する事を多視線X線計測により実証した。しかし高速電子の電流への定量的評価には至っていないため、上記のような区分を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に整備した多視線計測のシステムと駆動システムを用いて、分布関数の同定を行う実験を計画してえる。これは高速捕捉電子が電流を駆動していることを定量的に示すために必須である。実験では硬X線強度とエネルギーの空間分布を計測。そのデータと分布関数をパラメータとして数値計算した結果を比較し、差が最小となる分布関数を求める。23年度中に数値計算コードを確立したので、24年度では分布関数同定のための計測を行う。但しここで研究を遂行する上での問題点が判明しており、23年度の硬X線空間分布計測により、複数の視程では装置内の2か所のリミター(突起物)からの制動放射が、プラズマからの放射を計測できないほど大きいことが分かった。そのため、リミターが視線内に存在しない垂直方向からの空間分布計測を対応策として講じる。
|