2011 Fiscal Year Annual Research Report
EpiSC由来の幹細胞群を用いた、神経板の領域特異的な形成機構の研究
Project/Area Number |
11J04416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 一成 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 転写制御ネットワーク / 神経板 / EpiSC / エンハンサー / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は(1)EpiSCより由来する領域特異的な神経板細胞を樹立または単離する。(2)それらの幹細胞を用いて、領域特異的な神経板細胞を発生させる転写制御ネットワークを明らかにする。(3)培養細胞で明らかにした転写制御ネットワークを実際のマウス胚を用いて確認する。という3つの目的のもとで進めている。初年度は(1)について取り組んだ。 EpiSCを神経系へと分化させる条件下(無血清培地よりEpiSCの維持に必要なActivinとFgfを取り除く)では神経板の様々な領域が混在した神経板細胞が分化していることを確認した。この混在状態より、Sox2遺伝子のエンハンサーN2を用いることで、前部神経板の発現プロファイルを反映した細胞集団を単離することができた。次にこの前部神経板に対応した神経板細胞を安定培養することを目指し、TetシステムとTol2トランスポゼースを利用した。時期・領域特異的なエンハンサーの活性を定常的に反映し、活性を持った細胞を選抜できるシステムを開発した。神経板の領域を考慮した細胞を単離し、安定培養するという試みは類を見ない。現在このシステムと時期・領域特異的なエンハンサーを利用し、前部神経板の単離、培養のための条件を検討している。前部神経板を単離するためのエンハンサーの候補として、Hesx1エンハンサーが挙げられる。このエンハンサーを効果的に利用するため、エンハンサーの特性について詳細に調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
領域特異性を持った神経板細胞を単離する目的で利用するエンハンサーの活性を効果的に反映させる条件検討を十分に行っているため。エンハンサーによって活性を強く持つ細胞状態や転写制御が異なる。前部神経板で活性を持つエンハンサーはいくつか知られているが、それらが活性を持つ条件を慎重に検討した。神経板細胞の領域を決めるエンハンサーの選定は本研究の要といっても良い。十分に時間をかける価値がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の推進方策に大幅な変更はない。神経系へと分化させる条件を工夫することによって、前部神経板特異的なエンハンサーの活性を培養細胞において効果的に反映させる方法を確立する。領域特異的な神経板細胞を単離することができれば、EpiSCと領域特異的な神経板細胞それぞれの状態をマイクロアレイなどで網羅的に遺伝子発現プロファイルを解析する予定だ。
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Research Products
(2 results)