2012 Fiscal Year Annual Research Report
EpiSC由来の幹細胞群を用いた、神経板の領域特異的な形成機構の研究
Project/Area Number |
11J04416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 一成 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 転写制御ネットワーク / 神経板 / EpiSC / エンハンサー / Wntシグナル |
Research Abstract |
本研究は1.EpiSCより由来する領域特異的な神経板細胞を樹立または単離する。2.それらの幹細胞を用いて、領域特異的な神経板細胞を発生させる転写制御ネットワークを明らかにする。3.培養細胞で明らかにした転写制御ネットワークを実際のマウス胚を用いて確認する。という3つの課題を進めている。本年度は1と2について取り組んだ。 マウス胚の神経板はE7.5以降、転写制御の異なるいくつかの領域に分かれて発生する。最前部神経板は、Hesx1遺伝子の活性化で特徴付けられる。Hesx1の発現を制御するエンハンサーを活用して、最前部神経板状態で活性化されるレポーター遺伝子を開発した。最前部神経板ではWntシグナルが非常に低い状態にある。この状態を培養条件下で再現するために、WntシグナルのアンタゴニストであるDkk1を強制発現させて、EpiSC集団に内在するWntシグナルの効果を抑制した。その結果、最前部神経板に対応する神経板細胞をEpiSCから効率よく生み出す事ができた。このことは上記のレポーター遺伝子の活性化だけでなく、Hesx1のin situ hybridizationによっても確認した。 これまでに、前部神経板、最前部神経板に対応した神経板細胞をEpiSCより効率よく発生させることができた。これらの細胞群を用いて、OCT3やOTX_2などの転写制御因子がゲノム上で結合する配列を網羅的に解析する。そのための予備実験として、ビオチン・ストレプトアビジンの特異的な結合を利用したChIP・PCRを行った。EpiSCでBLRP-OCT3(BLRP:ビオチンリガーゼ認識配列を付加したOCT3)を強制発現させた。BLRP-OCT3を強制発現させたEpiscを回収し、ChIP・PCRを行ったところ、OCT3結合配列を持つSox2のエンハンサーN2配列の特異的なバンドの増幅が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経板の領域特異性を反映した神経板細胞をEpiscより効率良く発生させる条件検討に多くの時間を要した。結果として前部神経板だけでなく、最前部神経板に対応した神経板細胞を効率よく発生させる条件を見つけることができた。これはWnt因子の抑制と神経板の領域化を結びつける新たな発見であり、多くの時間を要した価値があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
神経板の領域化に重要だと考えられている転写因子(例えばOCT3やOTX2)について、Episcより発生する前部神経板細胞、最前部神経板細胞を用いたChIP-seqを行う。これらの転写制御因子のゲノム上での結合領域の違いが神経板の領域化にどのような効果を及ぼすのかを明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)