2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁気流体シミュレーションを用いた太陽ダイナモの物理機構の解明
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11J04531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 英之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太陽 / ダイナモ / 磁気流体力学 |
Research Abstract |
私は、平成23年度中に2本の主著論文を国際雑誌に発表し、現在は1本を投稿中、また別の1本を準備中である。以下でこれらを簡潔にまとめる。 1.平均場モデルを用いた回転角速度の大きい恒星の差動回転:太陽以外での恒星でも、磁場活動は確認されているが、その物理を理論的に理解するためには恒星内部の差動回転が、回転角速度に対してどのような依存性を示すか理解する必要がある。平均場モデルで、回転の速い恒星の数値シミュレーションをおこなった。太陽でおこる対流層と放射層の相互作用の効果は回転が速くなったときにはその効果は効かなくなっていくこと、またその物理機構を解明した。 2.音速抑制法を用いた太陽内部対流数値計算:太陽内部は、対流速度に対して音速がとても速いために数値計算が困難である。これを解決するために「音速抑制法」を提案し、その妥当性を検証した。3.直接計算を用いた乱流拡散強度評価:平均場モデルにおいて重要なパラメータである乱流拡散の値を直接計算により導く方法を提案した。実際にその方法を用いることで、乱流拡散係数を求めた。結果として、系のサイズと速度の積によって乱流拡散の値が決まっていることを明らかにした。 4.太陽対流層底の磁場増幅機構「エクスプロージョン」の研究 観測に合う黒点の統計性を実現するためには従来考えられている差動回転による引き延ばしのみでは、エネルギーが足りないことが知られている。そこで、これまでに「エクプロージョン」という機構でさらなる磁場増幅をすることが提案されている。私は3次元の状況下において、世界で初めて「エクスプロージョン」の実現に成功した上で、その成功条件から太陽対流層の状況についての推察をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
4つの研究について、ほぼ完成をすることができたこと。24年度以降の研究について、充分に準備ができていることから。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に作成した数値計算コードを用いて、太陽対流層の底から表面までの一貫した研究をおこなう。通常ならば、不可能な研究であるが、23年度に考案した方法であれば可能になる。
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