2012 Fiscal Year Annual Research Report
モーラム地域芸能の人類学的研究-東北タイ・ラオスの芸能・宗教実践の理解に向けて
Project/Area Number |
11J04549
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
平田 晶子 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 文化フロー / グローバル化 / 脱領土化 / エスニシティ |
Research Abstract |
本研究は、東北タイおよびラオス両国に居住するラオ族に歌い継がれてきた謡い手とラオ族の民族楽器である笙の伴奏から構成されるモーラム芸と呼ばれる地域芸能を対象とした芸能研究である。 1.グローバル化に直面する東北タイおよびラオスにみるモーラム芸(ラオスではラム歌謡)と、その芸能実践者たちの越境横断的な移動現象を文化的、政治的、経済的、歴史的コンテクストから理解することを目的としている。 2.2年間のフィールド・ワークで収集した民間治療儀礼、祖先供養儀礼、精霊供養祭の記録を文字化することに専念し、録画・録音した音声資料を利用して、宗教実践(仏教・アニミズム)の場で歌い継がれるラム歌謡から、多民族から成る調査村の宗教的世界観を民族誌として書き上げる。 上記の目的と照合させ、以下の通り、平成24年度に実施した研究成果の3点を報告する。 (1)ラオス人民民主共和国での長期調査(平成21年4月~平成23年3月)で収集したデータを用いて、平成24年度は国内の学会・研究会でこれまでの研究成果をまとめて発表し、投稿論文に仕上げ、日本タイ学会の学会誌に投稿した。成果物としての投稿論文は、「The Representation of Ethnicity as a Resource-An Understanding of Luk Thung Molam and Traditional Molam Music in Northeastern Thailand in a Globalization Epoch-」(2013年2月受理、4月下旬再提出後、委員会から受理済)で『年報タイ研究』第13号に掲載されることになっている。 (2)映像、音声資料等を文字化する作業に徹し、芸能公演や宗教儀礼で用いられる歌のテキストをディクテーションし、不明な語彙の意味を確認した。(1年目と同様) (3)博士論文の構成を完成させて、執筆を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記9.の(1)国内の学会・研究会でこれまでの研究成果をまとめて発表し、投稿論文として仕上げ、投稿し、学術ジャーナルに投稿することができた。芸能公演や宗教儀礼で使われる歌詞の翻訳を続け、分析対象の量を増やしていくことができた。研究自体も、順調に進んでいる。なお、本研究課題は、平成24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、博士論文提出に向けてまとめていき、次の課題の宗教実践、アニミズムの宗教儀礼をモノグラフとして完成させていく。現状の問題点は、上記の歌詞の翻訳で、仏教用語のみならず、ヒンドゥー教の教え等が使われており、専門家の知識や助言を仰がなければ難しいことである。従って、今後の対応策として、アジア・アフリカ言語文化研究所にいるインド宗教史(ヒンドゥー教)の研究者からお話を伺う予定である。
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Research Products
(3 results)