2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬物担体への応用を目指したリン酸八カルシウムの作製と評価
Project/Area Number |
11J04659
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 奈津子 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リン酸八カルシウム(OCP) / 水酸アパタイト(HA) / 骨腫瘍 / ドラッグデリバリー / 徐放化 / 顆粒 / 転化 |
Research Abstract |
【成果(1):OCP(リン酸八カルシウム)/HA(水酸アパタイト)複合球状顆粒の作製】OCP/HA複合球状顆粒を作製した。 結晶相をOCP/HAとし、骨再生の促進と薬剤の徐放化を狙った。顆粒の形は、骨欠損の形に関わらず充填することができる球状を目指した。また、顆粒には約70%の気孔をもたせて多孔質とし、比表面積の向上と骨再生の促進を狙った。さらに、顆粒を骨欠損部に充填した際に顆粒間に骨再生に適した気孔を得るために、顆粒の粒径は1000μmとした。これまで作製されたOCP顆粒は形状が制御されていなかったが、本研究では顆粒の形状を真球に近い球状に制御することができた。骨欠損部に顆粒を充填することにより顆粒間に気孔が形成されるが、この気孔の大きさが骨再生のために重要である。顆粒の形状を制御することで、顆粒間に形成される気孔の大きさを制御することができ、骨欠損部に骨伝導に適した大きさの気孔を容易に形成できると考えられる。 【成果(2):OCP/HA複合球状顆粒の薬剤担体としての評価】成果(1)にて作製したOCP/HA複合球状顆粒の薬剤担体としての能力を、薬剤および細胞を用いて評価した。抗がん剤であるメトトレキサートのモデル物質として葉酸を用いて、OCP/HA複合球状顆粒からの放出特性を評価した。放出された葉酸の濃度は、メトトレキサートの治療域濃度を維持していたことから、OCP/HA複合球状顆粒は抗がん剤徐放型の骨充填剤として応用が期待できる。また、顆粒に担持させたメトトレキサートが骨肉腫細胞であるHOS細胞へ与える影響を評価したところ、薬理効果を失うことなくHOS細胞の増殖を抑制した。作製したOCP/HA複合球状顆粒は、抗がん剤担持型骨充填材としての応用が大いに期待できる。
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Research Products
(6 results)