2013 Fiscal Year Annual Research Report
再認記憶の脳領野間ネットワークダイナミクス:サルfMRI賦活領域の硬膜下電極記録
Project/Area Number |
11J04682
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 健太郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 再認記憶 / 後部頭頂葉 / マカクサル / 機能的磁気共鳴機能画像法 / 内側側頭葉 |
Research Abstract |
平成24年度までに, 再認記憶課題遂行中のマカクサルに対する機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)実験を行い, ヒトとサルに共通の記憶想起に関わる大脳ネットワークを同定し, その成果を米国Neuron誌に報告した。平成25年度は, 記憶記銘時の脳活動に着目し, サルの大脳のどの領域が, 後の記憶想起の成否を予測するかを調べた。すると, サルにおいてもヒトと同様に, 海馬を中心とする内側側頭葉が記憶記銘の処理に深く関わることが示された。内側側頭葉の中でも嗅周皮質は親近性に基づいた記憶の記銘, 海馬と嗅内皮質は回想に基づいた記憶の記銘に関わり, 機能分化していることが分かった。嗅周皮質, 海馬はヒトでもそれぞれ, 親近性, 回想に基づいた記銘に関わることが知られ, ヒトとサルに共通の神経基盤の存在が示唆された。ヒトではサルに比べて解剖・組織学的な知識が少なく, MRIを用いた領野間の境界描出法が確立されていない。解剖学的知識が豊富なサルを用い, 高空間解像度の機能画像をもとにマッピングを行った本研究の結果は, これまでヒトの海馬傍回皮質が担っていると考えられてきた記憶処理に関わる機能が, 実際には嗅内皮質で処理されている可能性を示唆した。これらの知見をまとめた原著論文は平成26年1月に米国The Journal of Neuroscience誌に掲載された。ヒトを対象とした研究では, 再認記憶想起時に活動する脳領域の一部は, 記憶の強さなど記憶に対する主観的な評価と関係することが知られている。このように記憶の状態を評価しモニタリングする認知機能をメタ記憶といい, ヒトが意思決定をするときに重要な役割を果たすことが知られ, 近年活発に研究されている。再認記憶課題に記憶の自信度を評定するメタ記憶課題を追加し, サルの訓練を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Dissociable memory traces within the macaque medial temporal lobe predict subsequent recognition performance.2014
Author(s)
Miyamoto, K., Adachi, Y., Osada, T., Watanabe, T., Kimura, HM., Setsuie, R., Miyashita, Y.
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Journal Title
The Journal of Neuroscience
Volume: 34
Pages: 1988-1997
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Neural correlates of primacy and recency effects in macaque memory retrieval network2013
Author(s)
Miyamoto, K., Osada, T., Adachi, Y., Matsui, T., Kimura, HM., Watanabe, T., Setsuie, R., Miyashita, Y.
Organizer
北米神経科学学会2013
Place of Presentation
アメリカ合衆国(サンディエゴ)
Year and Date
2013-11-12
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