2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本・ドイツにおける米軍基地を抱える地域の比較社会学
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11J04739
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森 啓輔 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 沖縄 / 反基地闘争 / アメリカ / 米軍 / ベトナム戦争 |
Research Abstract |
第一に、日独における米軍基地に関する先行研究を収集した。特に、1960年代から現在にかけての沖縄に関する文献・資料を、沖縄県立図書館、公文書館、琉球大学図書館において集中的に集めた。沖縄本島北部における、米軍基地建設に反対する運動は、1950年代後半の日本本土反基地運動後、米軍施政権下にあった沖縄本島北部へと移設された。それ以来、沖縄本島北部において組織されることがなかった米軍に対する住民運動は、1969年佐藤・ニクソン声明により本土「復帰」が規定コース化される中、沖縄県内においてかつて無いほどの民衆運動が盛り上がることになる。これはベトナム戦争反戦運動のインターナショナルな動きとも合流し、日本本土においても「沖縄問題」が無視できなくなり、様々な連帯が一時的にではあるが築かれたことが明らかになった。この同時代的連帯は、北部地域においても例外ではなかった。この点が先行研究では顧みてこられなかった同時代的な影響であり、意義がある。第二に、ドイツの米軍基地と地域の歴史についてプレ調査を行い、以下の点が明らかになった。ベトナム反戦運動のインターナショナルな動きは、当時米軍駐留基地が集中していたドイツ南西部においても例外ではなかった。アメリカの公民権運動は、ドイツの学生運動や環境運動、沖縄の復帰運動、日本本土の反戦運動とも連帯し、同時代的な運動を作り出していった。これらのトランス・アトランティックかつトランス・コンチネンタルな動きが、ベトナム戦争後の米軍再編の動き、およびそれに対抗する運動の編制を見る上で非常に重要であるが、そのような比較研究は、管見の限りまだない。平成23年6月には国際学会であるAsian Studies Conference Japanにおいて、研究成果報告した。9月には、日本社会学会において、沖縄における資料調査とフィールドワークの経過報告を行った。さらに平成24年度のドイツにおけるフィールドワークのための予備調査を、8月14日から9月13日までハインリッヒ・ハイネ・デュッセルドルフ大学を拠点にして行った。また、平成24年2月16日から3月10日には、東村高江の座り込み現場にてフィールドワークを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、研究計画書に基づき、若干の変更はありつつも当初の予定通り、沖縄での資料収集とフィールドワーク、ドイツでの予備調査、国際・国内学会での発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は研究計画に基づき、平成24年8月から平成25年3月を目処に、ドイツ・ハインリッヒハイネ・デュッセルドルフ大学において、文献調査とフィールドワークを行う。10月から11月にかけては帰国し、学会発表および論文提出に全力を尽くす。平成25年度においても、研究計画に基づき、4-8月に資料とデータ整理を行い、9月より研究論文の執筆を開始し、年度内の完成を目指す。
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