2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本・ドイツにおける米軍基地を抱える地域の比較社会学
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11J04739
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
森 啓輔 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 沖縄 / ドイツ / 反基地闘争 / 米軍 / ヨーロッパ冷戦 / 西ドイツ占領 |
Research Abstract |
平成24年度8月から10月、12月から3月に分けて、デュッセルドルフ大学哲学部現代日本学会において研究員として在籍し、平成23年度からの研究を継続して行った。具体的にはデュッセルドルフ大学図書館、トリアー市立図書館において、戦後ドイツ占領に関する史料、とりわけ米・仏占領地域における占領にかんする文献と、1950年代の新聞史料を渉猟した。また、ラインラント・プファルツ州ビンスフェルドの住民運動団体BIEGASに赴き、引き続き史料調査を行った。1949年に米英仏の西側統治諸州に連邦共和国臨時政府が誕生してから1955年に主権を獲得するまで、臨時政府内ではドイツの再軍備に関するフランスの大きな反対があった。さらにはザール問題として独仏間での領土問題も平行して存在した。そのような中、1951年にフランス軍占領地であったシュパングダーレムに空軍基地建設が開始され、1953年には米空軍が駐留を開始する。これら西ドイツの地域は国境地域Grenzregionと呼ばれる、フランス・ドイツ・ベルギー・ルクセンブルグの境界に位置しており、後に多くの原子力発電所が建設されることになる地域であった。冷戦後、フランクフルト空軍基地が閉鎖されるに伴い、同じくラインラント・プファルツ州にあるヨーロッパ最大の米ラムシュタイン空軍基地とシュパングダーレム基地に基地機能が移転されることになり、基地拡張の計画が持ち上がる。これに対し隣接地域のビンスフェルドでは経済的利益から受け入れを表明する住民運動が生起する一方、それに反対する運動も生起した。この建設反対運動は、同地域で戦後継続的に行われてきた反核運動とも結びつくことで、ドイツ全土のネットワークを獲得しつつ運動を形成したが、建設計画は2009年をもって完了する。これらの再編の動きは、東アジアとは異なる枠組みで展開しつつも、この比較研究は管見の限りまだなく、先駆的研究であると言える。平成24年7月・10月・11月には平成23年度の成果を学会で発表し、平成25年3月には論文として発表した。これらの複合的成果を平成25年度に学会発表と論文として形にしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、研究計画書に基づき、当初の予定通り、ドイツでの資料収集とフィールドワークと調査、国際・国内学会での発表、海外研究者とのネットワーク構築を行うことができた。ドイツ関連の追加の調査が必要になる可能性が今後あるが、再渡航の必要性は低い。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究計画に基づき、4-8月に資料とデータ整理を行い、9月より博士論文プロポーザル執筆を開始し、年度内の完成を目指す。
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