2011 Fiscal Year Annual Research Report
アート・コミュニケーションを促進する教育・支援プログラムの開発とその効果の検討
Project/Area Number |
11J04825
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
縣 拓充 千葉大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アート / 創造性 / 心理学 / 教育 / ミュージアム / ワークショップ |
Research Abstract |
本研究では、市民と芸術家とが双方向的にinspire、stimulateし合えるコミュニケーションのあり方を検討すること、そして、特に地域の中で長期的に持続可能な、アーティストと市民の間のコミュニケーションを支援・促進する実践をデザインし、その効果を検証することを目的とした。1年目は主に3つのことを予定していた。すなわち、1)市民への、アートの認識や態度に関する質問紙調査、2)プロジェクトやワークショップを展開させているアーティストへのインタビュー、3)複数のプロジェクトやワークショップ実践でのフィールドワークである。 本年度中心的に実施したのは、主に3)に関わるものであった。とりわけ、「千葉アートネットワーク・プロジェクト(WiCAN)」、及び、東京都現代美術館での夏冬2つのワークショッププログラムに関しては、長期に渡って観察やフィールドワークを行った。前者は、アーティストとの関わりは多くなかったが、地域におけるアートやアート・プロジェクトの意義について、深く考える機会を持った。 後者は、どちらもアーティストが中心となって行った計3回のプログラムであった。いずれもワークショップのプロセスを記録し、参加者への質問紙調査やインタビューも複数回に渡って実施した。まだまとまった結果は出ていないが、多様な角度から豊富にデータを収集できたため、今後も継続して分析を行っていく予定である。 その他、1)及び2)は予備調査の段階に留まったと言える。1)に関しては、上記3)のワークショップやプロジェクトの参加者に調査を実施し、予備的な検討を行った。2)に関しても、予備的な調査として、基本的には現状のプロジェクトを中心とした現場を観察することが中心であった。どちらも予備調査の結果を踏まえ、研究デザインを詰めた上で、2年目以降の本調査につなげていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた3つの内容のうち、フィールドワークに関してはかかなり進展し、現行のワークショップやアート・プロジェクトの理解が深まったと言える。他方で、質問紙調査やアーティストへのインタビューは予備調査の段階にとどまったため、(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールドワークの過程で、特に子どもを対象としたアート・プロジェクトの評価に際しては、既存の方法を適用することには限界が感じられたため、新たな方法論を構築する必要性があると言える。この問題を解決し、2年目には、1年目のデータの分析を継続することに加え、新たな調査・インタビューを行っていく。特に千葉アートネットワーク・プロジェクト(WiCAN)においては、より体系的に調査やプロジェクトの効果の検証を行っていくことを予定している。
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