2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04849
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 幸太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GS方程式 / 磁場星 / 磁気圏 / 中性子星 / マグネター / パルサー磁気圏 |
Research Abstract |
定常的な磁気圏構造を求めるためには,定常化された式であるGrad-Shafranov(GS)方程式を解くか,非定常なシミュレーションによって準定常状態を求める必要がある.そこで本年度は,GS方程式の理解を深めるため1.GS方程式を解いて中性子星の内部でトロイダル磁場が強くなる条件を探る,という研究と,国立天文台の和田智秀氏と共同で2.多重極磁場を伴った回転する中性子星の磁気圏の軸対称で定常的な構造を粒子シミュレーションによって求める,という研究を主に行った. 1に関しては,星の大局的なポロイダル磁場を生み出している電流と逆向きの電流(負の電流)が存在している時に、星の内部に存在するトロイダル磁場が強くなるということが分かった.特に極限的な状況として,負のデルタ関数的な振る舞いをする電流が存在しているとトロイダル磁場が非常に大きくなるということが分かった.このような振る舞いは,楕円型方程式であるGS方程式の境界条件の取り扱いに起因しているが,多くの先行研究ではこれまで明確に示されていなかった.今回の結果を用いることで,先行研究で個別に求められてきた磁場星の定常解を統一的に説明することが可能になった. 2に関しては,星が大局的には双極子磁場であるが星の表面付近で強い四重極子磁場を伴っている時,磁気圏構造は双極子磁場だけの時とは大きく異なることが分かった.軸対称を仮定した場合,中性子星の磁場が双極子磁場だけである時は,磁気圏構造は星に対して南北対称となるが,四重極子磁場も伴っている時は,磁気圏は非南北対称的なものとなった.また,四重極子磁場が存在している時は,星の周囲に磁力線が存在しない磁気中性面が存在するため,星の表面から引き出されて磁場に沿って移動し磁気圏を構成している荷電粒子の動きが制限されることも明らかになった. これらの結果に関しては,国際会議や天文学会などで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は磁場星の内部に存在するトロイダル磁場が強くなる条件に関する研究を行い,磁場星や磁気圏の構造を支配するGS方程式の境界条件に起因する新しい理解が得られた.この結果は,多くの先行研究を統一的に再構成することが可能になるもので,研究目的に記した強磁場強天体の磁場構造や定常的な磁気圏の構造の理解に大きく役立つものである.一方で,国立天文台の和田智秀氏と共同で粒子シミュレーションを用いて磁気圏構造を求める研究も進めている.多方面から磁気圏構造の理解に迫っており,研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では磁場星の磁場や磁気圏の構造を支配するGS方程式に関する新しい理解が得られた.この理解によって従来の研究では考慮されていなかった,あるいは間違っていた電流密度に関する境界条件の取り扱い方を統一的に正しく扱うことが可能となった.本年度の研究では磁場星の構造のみを扱ったが,この方法を用いることでforce-freeを仮定した中性子星やブラックホール磁気圏の定常解は統一的に求まると考えられるため,まずはこの系を系統的に解析する.一方で,国立天文台の和田智秀氏と共同で,粒子シミュレーションを用いて定常的な磁気圏構造を求める研究も進めており,多方面から磁気圏構造の統一的な理解を深めていく.
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Research Products
(5 results)