2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J04849
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤澤 幸太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GS方程式 / 磁場星 / パルサー磁気圏 / ブラックホール磁気圏 / マグネター / 中性子星 |
Research Abstract |
定常的な磁気圏構造を求めるためには,定常化された式であるGrad-Shafranov(GS)方程式を解くか,非定常なシミュレーションによって準定常状態を求める必要がある.そこで本年度は,GS方程式の理解を深めるため前年度に引き続き1.GS方程式を解いてマグネターの内部でトロイダル磁場が強くなる条件を探る,という研究と,2.critical surfaceで方程式の型が楕円型から双曲型になる定常的なアウトフローの方程式をself-consistentに求める,という研究を主に行った. 1に関しては,星の大局的なポロイダル磁場を生み出している電流と逆向きの電流(負の電流)が存在している時に、星の内部に存在するトロイダル磁場が強くなるということが分かった.特に負の電流が星の表面付近で層になっている時に,トロイダル磁場が非常に大きくなるということが分かった.今回の結果を用いることで,先行研究で個別に求められてきた磁場星の定常解を統一的に説明が可能になった. 2に関しては,定常的な磁気圏をself-consistentに求まるために,方程式の型がcritical surfaceで変化するという問題を扱った.定常的なアウトフローを支配するGS方程式は,critical surfaceを境にしてその型が楕円型から双曲型へと変化することが知られている.そのため,critical surfaceを境界にして,与えるべき境界条件を変更しなくてはならず,数値的に計算するには非常に厄介であった.そこで本研究では,1の研究の結果を用いて,グリーン関数を使って境界条件を取り込むことにより全領域を楕円型方程式として扱い,定常的なアウトフローの解を求めることに成功した.この手法を用いることで様々な種類の定常的な磁気圏を計算することが可能となった. これらの結果に関して,日本天文学会や国際会議などで発表を行った.また,1の研究は,査読付き国際学術論文誌に掲載が受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は磁場星の内部に存在するトロイダル磁場が強くなる条件に関する研究と,定常的なアウトフローをself-consistentに解く研究を行った.これらの結果は,多くの先行研究を統一的に再構成することが可能になるもので,定常的な磁気圏の構造の理解に大きく役立つものである.これらの手法を用いることで様々な種類の定常的な磁気圏構造を求めることが可能であり,研究は順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では磁場星の磁場や磁気圏の構造を支配するGS方程式に関する新しい理解が得られた.この理解によって従来の研究では考慮されていなかった,境界条件や方程式の型変化といった問題を統一的に扱うことが可能となった.この結果を用いてさらに発展させることによって,任意の境界条件下での磁気圏構造を解くことができる.そこで今年度は,昨年度の結果を用いることでGS方程式を解き,定常的な磁気圏構造を求めていく.また一方で,初年度に天文台の和田氏と共同で行ったパルサー磁気圏構造をシミュレーションから求める研究もさらにすすめ,多方面から定常的な磁気圏構造を求めていく.
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