2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物-ハロゲン化合物間の化学反応を利用した新規ナノ表面制御技術開発
Project/Area Number |
11J04993
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 俊 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属表面 / ナノ粒子 / 酸化膜除去 / ハロゲン化 / 表面制御 |
Research Abstract |
「新規ナノ表面制御技術開発」のために、平成23年度は1.はんだペースト酸化皮膜除去の反応機構解析、2.粒子表面での元素の状態分析をキーワードとする要素技術開発を行い、反応機構を明らかにし、金属ナノ粒子へ本技術を応用することで、3.本表面処理技術の省資源型金属ナノ粒子ペースト調整法の開発を計画し、また達成した。 1.はんだペースト酸化皮膜除去の反応機構解析 金属酸化物電極、種々の溶媒及びハロゲン活性剤を用いて、電気化学分析及び電極の表面分析を行った。その結果、溶媒の特性に応じた温度より、酸化物は活性剤によってハロゲン化合物へ変化し、ハロゲン化合物が溶媒中に溶解することで酸化物が除去され、金属表面は単分子層程度がハロゲン化されていることが明らかとなった。 2.粒子表面での元素の状態分析 初期検討としてミクロンサイズの銅粒子の表面酸化膜除去及びハロゲン化を検討した。その結果、粒子表面が有する数十nmの酸化膜除去及びハロゲン化に成功した。また表面ハロゲン化により、粒子の耐酸化性の向上が示唆されている。以上の1.及び2.の結果から、新しい概念の表面処理技術体系化に成功した。 3.表面処理技術の省資源型金属ナノ粒子ペースト調整法への展開 実際に銅ナノ粒子を用いて表面酸化膜除去及びハロゲン化の検討を行った。銅ナノ粒子は、計算化学を用いて水溶液中の金属錯体状態を算出し、錯化剤により金属錯体を制御することで、今までにほとんど報告例のない、環境に低負荷な条件(室温かつ水溶液中)での粒子合成に成功した。1.及び2.の技術を合成された粒子表面制御へ展開・応用した結果、金属ナノ粒子の酸化膜除去及びハロゲン化に成功し、酸化皮膜抑制ではなく形成された酸化皮膜を除去するという「必要な時に必要な場所で酸化皮膜を除去できる金属ナノペースト」の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的達成のために、平成23年度に計画した検討事項はすでに全て終了しており、今年度に達成するとしていた本研究における酸化膜除去の反応機構の解析およびその反応機構を金属ナノ粒子へ応用・展開にも成功している。そして、すでに次年度の検討事項に取り組んでいることから、当初の計画以上に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点もなく、当初計画していた以上に研究が進展していることから、今後も計画に沿って研究を行う。また、現在今年度の達成事項に関する論文を3報執筆中であり、論文提出に伴う各共著者及び査読からの客観的な指摘、コメントを今後の研究に生かし、研究を推進する。
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