Research Abstract |
高度進行肝細胞癌は,既存のあらゆる治療法に対して治療抵抗性を示す予後不良な病態である.我々は,このような高度進行肝細胞癌に対して,5-フルオロウラシル(5-FU)肝動注化学療法にインターフェロン(IFN)を併用するIFN併用動注化学療法を施行し良好な成績を示してきた.しかしながら,非奏効例ではその予後は極めて不良であるため,同治療の治療効果予測,更には非奏効例における治療抵抗性の克服は重要な課題であると考えられる.本研究では,今回,近年,薬剤耐性を制御するとの報告が散見されるmicroRNA(miRNA)に注目し,それを用いた同治療の治療効果予測,更には治療効果予測に基づいた非奏効例における治療抵抗性の克服を目的として研究を行った.本研究では,miRNAの中で様々な癌腫で薬剤感受性に関わることが報告されているmicroRNA-21に注目した.これまでに,癌部におけるmiRNA-21の発現が同治療の治療効果に関連すること確認しているが,癌部miRNA-21発現に基づく治療効果予測には,癌組織標本が必要であるという問題点が存在しているため,今回,血漿中に存在しているmiRNA-21に基づく治療効果予測および治療抵抗性の克服を目指した.まず血漿中のmiRNA-21が肝細胞癌組織由来であるか否かを確認するために,根治切除が施行された症例の術前・術後の血漿からRNAを抽出し,qRT-PCR法にて血漿中miRNA-21を測定したところ,切除により血漿中miRNA-21は著明に低下していたことから,血漿中miRNA-21が肝細胞癌組織由来であると考えられた.次に肝細胞癌症例126例における血漿中miRNA-21の発現量を評価したところ,慢性肝炎症例30例,健常者50例と比較して,有意に高値であることが確認された.今後は,血漿中miRNA-21と癌組織中miRNA-21の発現レベルの相関を評価し,更には,血漿中miRNA-21発現解析がIFN併用化学療法の治療効果予測に有用であるか否かについて検討したいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的,研究計画に沿って研究を進めることができており,また一定の研究成果を得ているため,「(2)おおむね順調に進展している」と考える.
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