2011 Fiscal Year Annual Research Report
エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線の偏光観測
Project/Area Number |
11J05108
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 覚 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ガンマ線 / 原子核乾板 / 宇宙線 / 気球 |
Research Abstract |
エマルションガンマ線望遠鏡が直線偏光に対して感度を持つことを実証するために、SPring-8のLEPSビームラインにて直線偏光ガンマ線ビーム(最大2.4GeV)を照射したエマルションチェンバーの解析をおこなった。エマルションチェンバーの解析により、2577事象のガンマ線事象候補を低バイアスにて選び出した。選び出した2577事象について顕微鏡観察をおこない、1425事象について電子対生成事象であることを確認し、精密測定による方位角測定をおこなった。方位角測定をおこなった1425事象のうち、偏光による変調を弱める成分を幾何学的な条件により除去した767事象について方位角分布を分析した。分析により得られた偏光度及び偏光方向は、期待される偏光度及び偏光方向との一致が見られた。また、ガンマ線の直線偏光の解析の流れを確立した。 エマルションガンマ線望遠鏡の各構成要素の動作検証、及び連動試験を目的とし、また宇宙ガンマ線観測においてバックグラウンドとなる大気ガンマ線の実測を目指し、口径面積12.5cm×10cmの1号機による気球実験をおこなった。大樹航空宇宙実験場(北海道)にて、総フライト時間4時間19分、うち高度35kmの水平浮遊1時間36分の気球実験に成功した。この気球実験に搭載したヱマルションチェンバーを解析し、±45度の視野範囲におけるガンマ線事象の検出をおこなった。そして、検出したガンマ線事象に対して、タイムスタンプを押し、姿勢モニターの情報と併せることで、天球に対する到来方向を決定した。この一連の流れを確立し、エマルションガンマ線望遠鏡におけるファーストライトに成功した。また、予備的な結果ではあるが、大気ガンマ線フラックスを残留大気圧ごとに実測した。測定したフラックスは過去の測定との一致が見られ、我々の望遠鏡が問題なくガンマ線を捉えることができていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ガンマ線の直線偏光に対する感度評価が順調に進んでいる。また、1号機による気球実験が成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ガンマ線偏光測定のさらなる精度の改善を図る。また、1号機のフライトデータの解析をさらに進める。そして、口径面積、観測時間の拡大を目指し、2号機のフライト準備おこなう。
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