2012 Fiscal Year Annual Research Report
エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線の偏光観測
Project/Area Number |
11J05108
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 覚 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | ガンマ線 / 原子核乾板 / 宇宙線 / 気球 |
Research Abstract |
エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線観測を行ううえで、はじめのステップとなる気球実験を2011年6月8日に大樹航空宇宙実験場(北海道)でおこない、4.3時間(高度35kmの水平浮遊1.6時間)の気球フライトに成功した。回収・現像も無事成功し、名古屋大学F研で稼動している自動飛跡読取装置SUTSを使い、エマルションフィルムの飛跡の読み出しをおこなった。開口角±45度までの飛跡読み出しおよび再構成、また低いほうで25MeV/cまでの飛跡再構成をおこなった。再構成された飛跡から、高く、一様なつなぎの精度および飛跡検出効率が得られていることを確認した。再構成された飛跡の中から、電子対のトポロジーを要求することで、クリアなガンマ線事象が捉えられることを示した。12.5cm×10cmの全面にわたり、ガンマ線事象の検出をおこない、信頼性97%で153事象の系統的な検出に成功した。いくつかの条件ごとにガンマ線事象の検出効率をモンテカルロシミュレーションで評価し、100MeVで70%、200MeVで90%の高い検出効率が実現可能であることを示した。また、系統的なガンマ線事象のエネルギー再構成をおこない、得られたスペクトルから、今回の解析において、低いほうで50MeV程度までのガンマ線事象を捉えることができていることを示した。また、捉えたガンマ線事象について、電子対のkinematicsをモンテカルロシミュレーションと比較し、データの傾向をモンテカルロで再現できることを示した。そして、タイムスタンパーの情報と併せ、高度35kmにおける大気ガンマ線フラックスの導出をおこなった。また、残留大気依存性、天頂角依存性、エネルギー依存性の導出をおこない、過去の測定との一致および理解が得られた。 1号機の気球フライトに成功し、各構成要素の動作実証および連動実証をおこなった。また、宇宙ガンマ線のバックグラウンドとなる大気ガンマ線を実測し、過去の測定結果との一致および理解が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1号機の気球フライトに成功し、各構成要素の動作実証および連動実証をおこなった。また、宇宙ガンマ線のバックグラウンドとなる大気ガンマ線を実測し、過去の測定結果との一致および理解が得られた。また、これらの実績に基づき、ISAS/JAXAの国外気球実験の想定実験候補に選ばれ(2014年度実験予定)、2号機の気球フライトの見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1号機のフライトデータをまとめる。そして、2号機の気球フライトのための準備を進める。
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