2011 Fiscal Year Annual Research Report
周期領域におけるMaxwell方程式の形状最適化問題の数値解法
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11J05176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新納 和樹 京都大学, 大学院・情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 境界要素法 / 周期高速多重極法 / Calderonの前処理 / Maxwell方程式 / Galerkin法 / PMCHWT定式化 / roof top関数 / anomaly |
Research Abstract |
本年度は、研究課題の形状最適化問題の数値解法の開発に向けて、境界要素法を用いた順問題解析の高速化を目的とした研究を行い、前処理を用いることで計算時間の大幅な短縮に成功した。本年度に得た成果は大きく以下の二つに分けられる。 一つ目は、Helmholtz方程式においてGalerkin法を離散化手法に用いた定式化に対するCalderonの式に基づく前処理の適用である。まず並び替えによるCalderonの前処理をGalerkin法を用いた場合に拡張することを試みた。この前処理法には従来型の前処理行列を構成するCalderonの前処理法に比べ、簡単に実装でき、より反復回数を削減できるという利点がある。この前処理法のGalerkin法への拡張を行い、解法の高速化に成功した。さらに周期境界値問題では、係数行列の行列式が0または0に非常に近い値になり、反復回数が増大するanomalyと呼ばれる現象が知られている。このanomaly付近においても、Calderonの前処理は安定して反復回数を削減できることを確認した。 二つ目は、Calderonの前処理のMaxwell方程式への応用である。特にPMCHWT定式化へのCalderonの前処理の応用に関する研究を行った。電場をRWG基底、磁場をその双対基底で離散化することで、上で示した並び替えによる前処理を適用し、これによってMaxwell方程式においても順解析の高速化に成功した。またRWG基底を用いた場合、その双対基底の構成方法はやや複雑であり、実装が困難であったり、計算時間が多く必要であったりした。しかしRWG基底の代わりに、roof top関数を基底として用いると、その双対基底もroof top関数となり、より自然に双対基底を導入できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は前処理による波動散乱問題の順解析の高速解法の開発を行った。提案した手法は、当初の想定と比較し、解法を大幅に高速化した。またHelmholtz方程式、Maxwell方程式、弾性波動方程式など幅広い方程式に対して有効であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に研究を行ってきた並び替えによるCalderonの前処理をMaxwell方程式の周期境界値問題に適用し、周期領域における電磁波動散乱問題の順解析の高速解法を開発する。またMullerの定式化を用いた順解析の高速化についても検討する。これはCalderonの前処理とは異なり、定式化を工夫することで解法を高速化する手法である。その後、開発した順解析手法を用いて周期境界値問題に対する形状最適化問題の数値解法の開発を行う。
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Research Products
(11 results)